オープンイノベーションという言葉を良く聞くようになったが、実際他社や異業種の人に会って、仕事上のつながりができる機会は少ないかもしれない。イベントなどで知り合っても、仕事についてじっくり話す間もなく、立ち話だけで終わってしまうこともあると思う。アトラエが提供するビジネスマッチングアプリ「yenta」は、社会人に会社や業種を超えた横のつながりを提供している。yentaは2016年1月27日にローンチして以降、40万件のマッチングを達成したという。yenta自体は無料で利用できるが、今回、新しくいくつかの機能が利用できる有料プランの提供を開始する。
yentaは完全審査制のビジネスパーソン向けマッチングアプリだ。毎日12時になると、AIがおすすめのユーザーを1日10人提案する。会いたければ右に、そうでなければ左にスワイプすると、夕方8時にまとめてマッチング結果が通知される。現在ユーザー数は1万6000名ほどで、新規ユーザーは既存のユーザーとの相性を見た上で登録可否を決めているという。これまでに40万件のマッチングがあるそうだ。yentaユーザーからは、追加してほしい機能などの要望が寄せられていて、今回は中でも要望の多かった2つの機能を実装し、有料プランで提供することになったとアトラエの取締役を務める岡利幸氏は説明する。
有料プランで利用できるのは「ブースト機能」と「フィルタ機能」の2つだ。ブースト機能を使用するユーザーは、レコメンドの表示回数が通常のユーザーの5倍になる。多くの人に会いたいユーザーにとって便利な機能だ。一方、フィルタ機能はレコメンドされるユーザーを年齢、職種、登録エリア、人気度でフィルタをかけることができる。これを使うと、フィルタの条件に合致する10人が毎日レコメンドされ、的を絞ったマッチングが期待できるという。例えば、同じ年代のエンジニア、あるいは若手起業家など、会いたい人の属性が決まっている場合に使える。
有料プランは2つ設けていて、ブースト機能のみ利用をできる月1000円の「Activeプラン」とブースト機能とフィルタ機能の両方が使える月5000円の「Professionalプラン」だ。
マネタイズは無料ユーザーの使い勝手に影響しない範囲で行うと岡氏は言う。有料プランの想定している利用ユーザーは、より多くのマッチングを望む人や質の高いマッチングを望むアクティブなユーザー層ということだ。利用状況やユーザーフィードバックなどを見て、今後も有料で使える追加機能なども検討していくと岡氏は話す。
yentaが目指しているのは、「知性のネットワーク」を作ることと岡氏は説明する。「Googleでは様々な情報が検索できますが、テクニックや知識、組織の運営方法などは人の頭の中にあります。そういうものは無数にありますが、小さなコミュニティー内でしか共有されないのはもったいない」。yentaは、そうした人々の持つ専門領域や知識をインデックス化することで、それを必要とする人同士が簡単にアクセスできる世の中にしていきたいと話す。