恋に落ちる36の質問(ただし相手は共同ファウンダー)

数カ月間のベータテストを終え、Y Combinator(Yコンビネーター)は共同ファウンダーマッチングプラットフォームを公開した。そこでは起業家たちがプロファイルを作成し、自分自身のことや共同ファウンダーに望むこと、たとえば場所やスキルなどを記入することができる。システムはその情報を分析し、ニーズに合った候補者を何人か選んで提示する。言ってみれば共同ファウンダーのためのTinder(ティンダー)のようなものだ。これまでに4500人の共同ファウンダーの間で9000件のマッチングが出来上がった、とY Combinatorは言っている。

Y Combinatorがこのツールを運用するのに適した立場にあることは明らかだ。このアクセラレーターは、Startup School(スタートアップ・スクール)という人気の無料オンラインプログラムを開設しており、会社を始めたい人なら誰でも、設立に必要なリソースを手に入れ講義を受けることができる。スクールは190か国、23万人のファウンダーからなるコミュニティを作り上げた。このため、マッチングツールの提供はごく自然な流れであり、YCパートナーが新たに芽生えつつある才能を早期に集め、情報収集する場所としても役立っている。中でも、このマッチング・プラットフォームで出会った2つの会社はいずれもY Combinatorの2021年夏学期のメンバーだ。エコシステム万歳!

私の第一感はこうだ。このツールは、気が利いていて需要のあるシンプルなツールとして人々を結びつけることができるだろうが、意味のある形で運用していくのは、みんなが思うよりもはるかに大変だ、YCのように著名で実績のあるアクセラレーターにとってさえも。この後、このツールに関する提案、というよりも私の希望のリストを書いていきたい。January Ventures(ジャニュアリー・ベンチャーズ)の共同ファウンダーであるJennifer Neundorfer(ジェニファー・ニューンドーファー)氏と話して彼女の考えを聞いた後にまとめたものだ。

  1. 共同ファウンダーマッチングツールが最も向いているのは、自分のネットワークを持たず、初期段階で共同作業者を見つける方法を必要としている人たちだ。Startup Schoolは非常に大きいネットワークだが、クラス内の多様化と少数派登用に苦闘しているY Combinatorとしては、ファウンダーをマッチングさせる際にその問題を悪化させない方法を見つける必要がある。性別や民族によるフィルターは可能か?その機能はあるべきなのか? そこは危うい領域だ。
  2. YCは私にこう言った「Startup School参加者には地域年齢に関する情報を、最近追加した性別に関する自由記入テキストボックス以外尋ねていません。そして大部分の人たちは性別情報をまだ記入していません。現在私たちは、この情報を共同ファウンダーのマッチングに使用しています。女性であれば、女性共同ファウンダーを探しているというマークをつけることができ、その場合は共同ファウンダー候補として女性が選ばれる可能性が高くなります」。
  3. 双方が持つ情報が非対称である「逆選択」は実際に起きる。以前ニューンドーファー氏は、共同ファウンダーマッチングツールにはネットワークを持たないファウンダー「のみ」が集まると私に話したが、これは両者の経歴を組み合わせてもまだVCとのミーティングができない場合、あまり意味をなさない。共同ファウンダー・マッチングツールはよい加減の「ゴルディロックス状態」をどうやって見つけるのだろうか。起業家精神に関する鋭いスタートアップ思考を持つスター・プロジェクトマネージャーと、コーディングは大好きだがシリコンバレーにひとりも知り合いのいない大学院生の「両方」をどうやって引きつけるのか?
  4. それは(Tinderのように)右にスワイプするほど簡単ではない。果たしてYCは、マッチングサービス内の共同ファウンダーたちが相性を厳しく吟味する方法を簡単に学べる方法を見つけられるのか?NY Times(ニューヨーク・タイムズ)で人気となった恋に落ちる36の質問は、共同ファウンダー探しにも利用できる。

新ツールを発表したブロク記事で、YCはこの最後の点に言及した。「人はおそらく、1回デートしただけで結婚すべきではないでしょう。同じように、誰かと会社を共同設立するかどうかを決めるためにはビデオ通話が2回以上は必要でしょう」とブログに書かれている。「マッチした候補と実際に顔を合わせ、機会があれば、目的とゴールを明確にした期間限定のテストプロジェクトで一緒に働き、共同ファウンダーとの相性を慎重に吟味することをお勧めします」。

ともあれ、私は応援している。なぜなら、というか、誰でもそうだろう。ニューンドーファー氏はこう言っている「ファウンダーマッチングツールはファウンダーの供給を拡大しファウンダー基盤を多様化する興味深い方法です」。あとはツール群が多様性とアクセシビリティーを考慮して作られているかどうかだけだ。

この記事の後半では、IPO前の会社で起きた珍しい幹部のシャッフル、最新のウェブ・デリバリー・テック・スタックを深堀りしたExtra Crunchの特集EC-1、およびDidi(ディディ)を取り上げる。

Instacartシャッフル

画像クレジット:Instacart

Instacart(インスタカート)は、予定されているIPOを前に、Facebook (フェイスブック)幹部のFidji Simo(フィジー・シモ)氏を新CEOに指名した。食料品デリバリーのスタートアップは最新の評価額が390億ドル(約4兆3040億円)で、現CEOでファウンダーのApoorva Mehta(アプアバ・メフタ)氏は取締役会長に就任する。

関連記事:グローサリー配達のInstacartが新CEOにフェイスブック幹部のシモ氏を指名

注目ポイントはここだ:上場直前の重要な幹部シャッフルは稀でありかつ疑問符がつく。Instacartのメフタ氏は自身が10年近く前に創業した会社を公開する直前に現職を去ることになる。そして、The Information(ジ・インフォメーション)によると、シモ氏のCEO就任は、Instacartで長らく続いているFacebookの「人材漁り」の最新事例だという。同誌の推計によると、2021年にInstacartは、エンジニア、プロジェクトマネージャー、リクルーター、デザイナー、およびデータサイエンティストの計55人以上をFacebookから引き抜いている。もちろん、シモ氏の新しい仕事は、Facebookが最高ランクの女性幹部を1人失ったことを意味しており、すでに多様性に苦闘している会社にとって見っとも良い話ではない。

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EC-1のNS1特集

画像クレジット:Nigel Sussman

TechCrunchがスタートアップの設立から直面する課題への取り組みまで詳細に分析するEC-1の最新号はNS1を特集している。最新ウェブデリバリー技術スタックの中核を破壊しようとしている会社だ。

注目ポイントはここだ:この記事はITや大企業の仕組みの大ファンではない普通の人たちにとっても一読の価値がある。なぜか?そこでは資金豊富なビッグテック企業とVC支援の大物スタートアップでいっぱいの成熟した市場で、どうやってスタートアップが戦っていくかが書かれているからだ。そして、インターネット・トラフィックの再検討の必要性がなぜニッチな話ではないのかも。

EC-1記事

TechCrunchのEquityチームは今週特にすばらしい仕事をした。私はそこにいなかったので、ここでは多少バイアスの少ない私の言葉を読めるだろう。

注目ポイントはここだ:この回で一番興味深い部分は、Didi、および同社のが中国企業の米国上場に与える影響に関する話題だ。規制の問題には投資家の興味を薄れさせる効果があるが、DidiはTechCrunchがそれを指摘しなければならない唯一の事例ではない。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Y CombinatorInstacartDidi

画像クレジット:ALFRED PASIEKA/SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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