人気ゲーム「艦隊これくしょん -艦これ-」のTwitter公式アカウントが2月22日に一時凍結される騒ぎがあった。夜8時45分時点では復活しているが、130万人以上のフォロワーを持つ巨大アカウントだけにユーザーから注目が集まった。
「艦これ」の運営サイドは同日夕に、艦これの開発/運営公式ツイッターアカウント(@KanColle_STAFF)について、「Twitter社に連続の虚偽通告があり、DMCA著作権侵害ということで、同アカウントを本日運用できない状態になりました」と発表した。
公式アカウントが使っているアイコン画像について、偽名の第三者が「自分が描いたものだ」と主張してきたと説明している。運営側は「DMMさん、KADOKAWAさんと協力しつつ、必要な対応にあたってまいります」としている。
このDMCAとは、アメリカのデジタルミレニアム著作権法のこと。そもそもは自分の著作権が侵害されたときに、TwitterやGoogleなどに「削除」を申請する仕組みだ。今回はその仕組みが悪用されたと、運営側はみている。
DMCAが悪用されたら…
DMCA制度に詳しい検索エンジンの専門家、辻正浩さんはハフポスト日本版の取材に対し、「悪質ないたずらとしか思えない」と話した。
辻さんは、本来問題がないサイトなのに、DMCAの申し立てをされた結果、そのサイトがGoogleの検索結果などから「消される」という事態は、ほかにも起きていると指摘する。
DMCAは、申請があった場合ひとまず対処し、異議申し立てがあれば改めて精査する、という仕組みになっている。最終的には「誤解が解ける」としても、そこにはどうしてもタイムラグが発生する。
辻さんは「一時的にでも、企業の公式アカウントが差し止められるような事態になれば、社会的な悪影響は非常に大きい。イタズラだとすれば大変悪質だ」と憂慮する。
こうしたDMCAの悪用に、対抗する方法はあるのだろうか?
辻さんは「DMCAが悪意に弱い仕組みであることは事実です。DMCAの申し立ては大量に来るため、毎回、詳細に審査することは難しい」と指摘する。
だが、いまのところDMCAの仕組みが劇的に変わることはなさそうだという。
そのうえで、解決に向けては2つのアプローチがあるとした。
ひとつは、TwitterやGoogleなどが技術的な対処を向上させること。Googleは機械学習を使って、おかしなDMCA申し立てを自動的に却下する仕組みを設けており、近年その精度を上げてきている。ただ現時点では、そういった高度な技術がある企業ばかりではないという。
もうひとつは、ネットユーザーのモラルを高めることだという。
法的処分も…
TwitterはDMCAについて、虚偽や悪意による報告は「法的処分の対象となり、経済的不利益を被ることになります」と警告する。ただ、こうした枠組みが正常に機能するためには、一人一人のユーザーの良識も必要だ。
HuffPost Japanからの転載。