新しいモノ作りテクノロジーへの投資は、アメリカの産業界を作り変える

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モノ作りスタートアップへの投資の流れは、アメリカの製造業を作り変え始めているようだ。

その潮流を最初に作り出したのは、ボストン、ニューヨーク、サンフランシスコなどの都市である。だがその一方で、次なる業界の革命児となるスタートアップたちは、アメリカ南部のSun Beltや、アメリカ南西部にある郊外の、一見テクノロジー・イノベーションとは離れたように見える場所から生まれた企業たちだ。

ケンタッキー州の都市、レキシントンもその1つだ。これらの都市は、2008年の金融危機により経済が破壊され、そして、スタートアップの起業家の勢いに活路を見出している

オンデマンド型の機械加工や、付加製造(塑像のように材料を付加しながら製造していく造形方法)の3Dプリントなどの新しいモノ作りの形は、米国経済に多大な恩恵をもたらしているだろう。米国経済全体の約33%が製造業で構成されているが、それと同時に、この業界は新型のテクノロジーの流入に抵抗を示してきた業界でもある。しかし今、明文化された理由によって、その業界のあり方が大きく変わろうとしている。

企業は、作業工程からより多くのデータを集め、そのどこに効率化の余地が残されているのか把握しようとしている。それと同時に、テクノロジー導入のためのハードウェアやインフラにかかるコストも大幅に下がった。

そのような情報とサービスを提供しているのが、レキシントン拠点のスタートアップであるMakeTimeだ。同企業は先日、コロラド州のFoundry Group主導のラウンドにて800万ドルの資金調達に成功した。

MakeTimeは機械工程のキャパシティ効率化のためのマーケットプレイスであり、建築家出身のDrura Parrish現CEOによって創立された。同社のサービスによって、コンピュータライズされた製造業者たちは、機械が稼働していない期間を有効活用して、その期間内に外部企業のパーツを製造することが可能になった。

MakeTimeを利用して、ダウンタイムにある複数の製造業者に発注することで、企業はより低いコストで、より多くの量を製造できる可能性がある。

Parrishによると、データ分析による顧客企業への優れた価格情報の提供と、製造工程の真のコストを見通す洞察力がMakeTimeの成功の秘訣の1つだと語った。

足し算のモノ作り(3Dプリンティング)と、引き算のモノ作り(機械加工)は、両者とも将来の米国経済の主役となるだろう。現在、工作機械の市場は700億ドル規模である一方で、昨年に製造された3Dプリントによる製品をすべて足し合わせても約52億ドルにも満たない。だが今週のThe Economist記事によると、この数字は2025年までに5500億ドルに達する見通しだ。

この価値を生み出していくのは、CloudDDM、MakeTimeといったアーリーステージのスタートアップたち、そして、ニューヨーク発のもう少し成熟した3Dプリンティング・サービス企業であるShapewaysや、その同郷企業であるVoodoo Manufacturingなどの企業たちであろう。

レキシントンのMakeTimeがジャストインタイム(またはオンデマンドの)ニーズをつかみ、伝統的な機械工業をより安価で効率的にする一方、そこから約115キロ離れたルイビルのCloudDDMは3Dプリンティングを利用した製造ビジネスで名を上げようとしている。

より迅速な、より高品質な、そしてより安価な製造方法を、起業家たちに提供できる業界に製造業を作り変える。今この業界で起こっている全てのことは、そのために起こっているのです。

— Drura Parrish

UPSからの250万ドルの資金調達に支えられ、CloudDDMは自社の3DプリンターとCNCマシーンを利用して顧客からの注文の品を製造している。その工場はルイビルにあるUPSのロジスティクス拠点から目と鼻の先にある。

「UPSは不吉な予感を感じている」とCloudDDMのCEOであるMithce Freeは語る。彼によると、製造業がよりオンデマンド型に近づくにつれて、いずれ企業は自社製造によって必要量分だけの生産方法を模索し始める。または、物流業者に対してより短い時間での部品の配達を求めるようになる。そして、UPSのサプライチェーン・ビジネスは、そのことを認識しているという。

UPSが3Dプリンティングを利用して、ロジスティクス市場での同社のプレゼンスを高めようとしているように、GE Appliances(現在は中国の耐久財メーカーであるHaierの傘下)は、ルイビルに自社の3Dラボを建設し、FirstBuildと新製品のプロトタイプを製作している。

当初はGeneral ElectricとLocal Motors(フェニックスを拠点とする、3Dプリンターで車を製造するメーカー)の共同研究機関だったFirstBuildは、クラウドソーシングとクラウドファンディングの原理を利用し、かつて栄えたスタートアップ、Quirkyのパートナーおよび投資家となった。そして、彼らの力を利用してFirstBuildは家電製品のプロトタイプ開発をしているというわけだ。

そのプロセスにおいて、もっとも重要なのが3Dプリンターの活用だった。GEが同社の製氷機、Opalの発売準備を進めていたとき、同製品の部品の中には3Dプリンターで製造されたものもあった。製品を市場により早く送り出すためだ。

「FirstBuildはこの分野で素晴らしい功績をあげています」とGE Venturesのsenior managing directorであるKaren Kerrは語る。「そして、ベンチャー企業のプラットフォームが、GEのビジネスをどう進化させるのかという見本でもあります」

現在、General ElectricはNextBuildと呼ばれる同様のプロジェクトを立ち上げる構想を持っている。今年の初めごろ、Kerrは私にそう話してくれた。この機関は、FirstBuildから受け継いだ「迅速なプロトタイプの製作」という理念を受け継ぎながら、それをGEの産業向けビジネスに応用するという。

その他にも、マンモス級の企業がGEに加わり、彼らの力がLocal Motorsを支えている。調達金額は非公開ながら、今年の初頭にLocal Motorsは、創立されたばかりのAirbus Venturesから資金調達を完了した。これはAirbus Venturesにとって初の投資案件となった。

「最終的には、私たち全員が恩恵を受けることになるでしょう」とMakeTimeのParrishは語る。「より迅速な、より高品質な、そしてより安価な製造方法を、起業家たちに提供できる業界に製造業を作り変える。今この業界で起こっている全てのことは、その目的のためなのです」。それに加えて彼は、これの実現のためには、すべての製造チェーンをデジタル化しなければならないと話した。

「ジャストインタイムのモノ作り、またはオンデマンドのモノ作りでは、私たちの皆が役割を持ちます。皆が立ち上がり、聖なる土地へと突き進み、製造業に関わる人々に安寧をもたらすのです」。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Twitter /Facebook

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TechCrunch Japan

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