同僚が人工知能という世界が現実のものになろうとしている。1月25日、日本経済新聞社がベータ公開した「決算サマリー」は、企業の決算発表のサマリー記事を書く人工知能だ。昨日から、人工知能が書いた記事を日経電子版(日経会社情報DIGITAL)と日経テレコンのウェブサイト上で公開している。
日経新聞社は言語理解研究所(ILU)と東京大学松尾豊特任准教授研究室と協力し、記事執筆アルゴリズムを開発した。日経新聞社は保有する過去の決算記事を用い、人工知能に「記者が決算情報をどのように読み、記事にするか」を学習させているという。
決算サマリーの人工知能は、企業が開示する決算短信添付資料と決算短信サマリ情報から決算情報を抽出した後、適切な文章を選んでサマリー記事を作成し、ウェブサイトへの配信まで自動で行う。人はそのプロセスに一切関わらない。人工知能が作成した記事は、日経電子版と日経テレコンで読むことができが、日本経済新聞の紙面には使われない。
日本の上場企業は約3600社あって、その大半の決算発表に対応できると日経はサイトで説明している。決算発表を見て、ものの数分で記事が書けてしまうのなら、記事作成の効率化に役立つことは間違いないだろう。
昨日1日で、決算サマリーの人工知能が手がけた記事を30件確認することができた(24日にはすでに稼働していたようで、24日付けの記事は9件あった)。いくつか読んでみたが、時折日本語に不自然な部分があるものの、言われなければ人工知能が書いた記事だとは分からない精度の高さだ。
タイトルに関しては、画一的で味気ない印象も受ける。もちろん決算サマリーはじっくり読むようなコンテンツではなく、企業の売上や利益の増減とその要因が分かりやすく記載されていれば良いのだから、人工知能が書いていようが、人が書いていようが、そう関係ないかもしれない。むしろ人工知能の方が、読み間違えたり、打ち間違えたりなんてミスを犯すなんてこともないため、投資家としては安心して記事を読めるということにもなるかもしれない。
海外では、AP通信のマイナーリーグ野球の試合記事を執筆している人工知能などがある。人工知能は人の仕事を奪うことになるのか、あるいは型にはまった定常的な仕事から人を解放することになるのかは、まだ分からない。いずれにしろ、人工知能が身近な存在になりつつあるようだ。