暗号化データを無解読で利用できるDataFleetsをエンタープライズデータのLiveRampが買収

LiveRampがDataFleetsを買収した。この新進のスタートアップは、暗号化されている大量のデータを、解読や転送などをせずに利用できるようにする。エンタープライズのデータ接続性プラットフォームであるLiveRampは、同社に6800万ドル(約71億円)ほどを支払ったが、それは2020年秋のDataFleetのシード資金450万ドル(約4億7000万円)の10数倍の額となる。

DataFleetsは、医療や金融関連の機密データが最近、分析や機械学習のモデルの訓練に利用されるというニーズに着目した。そのようなデータベースは、複雑巨大であるだけでなく、転送も困難だが、それらを解読してどこかで使おうとすると、エラーや濫用、ハッキングの危険性が一気に増してしまう。

同社のソリューションは、病院や銀行などデータのプロバイダーとアナリストやAIの開発者などデータのクライアントの両方にソフトウェアを置き、両者間の安全な仲介者として振る舞う。クライアントは機密データがほしいのではなく、分析のシステムや機械学習のモデルにデータを適用したいだけだであり、値の取り出しと比較や、MLのモデルの構築といったデータに対して自動化されたタスクを実行できればそれでよい。データそのものに直接アクセスする必要はない。

明らかにこのやり方は、LiveRampにとっても価値あるものだろう。同社は大企業に数多くのデータ接続性サービスを提供する企業として、世界中で知られている。同社は先に発表した決算報告で、DataFleetsに前払いで6800万ドル(約71億1000万円)を支払ったことを発表したが、その額には、この種の取引によくある、その他のさまざまなインセンティブや延べ払いは含まれず、しかもそれらは非公開だ。

買収によってDataFleetsというブランドは若くして引退すると思われるが、おそらく同社のさまざまな顧客はLiveRampを目指すだろう。その最新の例がHCA Healthcareで、この全国的にメジャーなプロバイダーは新型コロナウイルスのデータ共有コンソーシアムを発表したばかりだが、そこでもDataFleetsのサービスを利用すると思われる。2020年に商用化したばかりの技術にとって、それは強力なお墨つきになるし、LiveRampにとってもヘルスケアのクライアントが増えたことで良いセールストークの材料になる。

LiveRamp自身は、サービスが強化されたことを機に、2021年にはヨーロッパとアジアとラテンアメリカの事業を拡張したい。さらに同社は国レベルでのプライバシー法を求めている。新政権では、それができるかもしれない。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:LiveRamp買収

画像クレジット:LiveRamp

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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