Googleの自己運転車は今や一般供用に向けての長い道のりの上にあるが、そのために技術者たちにとっては、人間という名のドジな運転者対策という、新しい課題が発生している。中でもイギリスの科学者たちは、自動車がいかにして人動車によって起きる衝突事故を避けるか、という新しい研究の先頭を走り始めている。ブレーキでは衝突を避けられないとき、Loughborough University(ラフバラ大学)の講師Matthew Bestのシミュレーションでは、まるでアクション映画のような、70mphという大きなg(重力加速度)のかかる急速車線変更をやっている。
ScienceDaily誌の説明では、“急速な車線変更が有効であるためには強力な高gの操作が必要であり、それは車体を不安定にする。そのときのアンダーステアを素早く修正するためには、より強力な計算力が必要であり、そのような車体の運動に伴ってそのほかの問題も生ずる”。重力加速度gは、ジェットコースターに乗ればあなたも体験できる。
現在のところ、この救命のための曲芸ができるほどの計算力や、リアルタイムデータの取得は、不可能である。
この研究そのものがはらんでいる難しさやおもしろさに比べると、今回の論文そのものはかなり平凡だ。しかしそれでも、コンピュータによる人工知能が、人間という名のお仲間と共存するために解決しなければならない奇妙な複雑さと、その魅惑的なソリューションを、かいま見させてくれる。