産業・医療分野向けのAI製品とサービスを提供するHACARUS(ハカルス)と動物用医薬品メーカーのDSファーマアニマルヘルスは2月18日、犬を立たせたまま足の裏の肉球を通して心電図検査を行ない、AIがデータを解析・診断するサービスを開始したと発表した。
これまで犬の心電図検査は、犬を横向きに寝かせて体にクリップを挟んで測る方法が一般的だった。場合によっては身動きが取れないよう押さえることもあり、犬に負担のかかる検査だったが、今回のサービスでは従来のようなストレスを感じさせずに測定できる。
ハカルスは2018年、DSファーマアニマルヘルス主催の「動物の健康を支える新規事業探索プログラム2018」において「スパースモデリング技術を応用した診断・治療支援AI」を提案。以降両社は連携を深めてきた。2019年にはドイツで開催された医療機器見本市でデモ機を展示、2021年には公募で選定された動物病院で試用を開始。それらの成果を経て今回のサービスの開始に至った。
ハカルスは、このサービスを動物病院に普及させることで、より手軽に愛犬の健康チェックができる環境を整え、犬の死因において高い割合を占める心臓病の早期発見への貢献を目指す。また今後は、犬だけではなく他の動物も視野に入れ、広範囲にわたる健康関連サービスを支援するプラットフォームに拡張する方針という。
検査の流れと特徴
- 心電測定:電極シートに犬を立たせたまま乗せ、ボタンを押すと約30秒間で測定が完了する。犬の心臓が全身に血液を送り出す際に発生する電気のデータを肉球から取得する
- AI解析:測定したデータはAIが約30秒間で解析・判定。日本獣医循環器学会の獣医循環器認定医が診断した「健康な犬」と「心疾患の犬」の状態を学習したAIが心電波形を判定し、結果をレポートに表示する
- 解析結果(閲覧・確認):解析結果は、DSファーマアニマルヘルスが運営する獣医療支援プラットフォームサービス「あにさぽ」で閲覧可能。心電計の扱いについて特別な技術は不要で、動物病院が導入しやすい仕様になっている