病院の救急部門のリソース必要量を予測するAnalyticsMD

【抄訳】

AnalyticsMDY Combinatorの今年の新卒で、難しいけどとても重要な問題に挑戦している。それは、病院のスタッフによる、リソースのアロケーションに関する選択を最適化して、仕事の効率を上げると同時に患者のケアをより充実させることだ。ファウンダたちは、自分たちのプロダクトを“病院やヘルスケアシステムのための航空交通管制官”、と呼んでいる。

そのサービスは、リアルタイムの分析に基づいて、求められている変化を予測し、スタッフやベッドの増員増設をそれが実際に必要になる前に配備できるようにする。それによって、救急室の待ち時間が一定の限度を超えたり、患者のケアの質が劣化することを未然に防止する。それはHIPAAに準拠したSaaSで、サンフランシスコベイエリアの大型病院をはじめ、いくつかの医療機関がすでに採用している。

AnalyticsMDの心臓部は大規模な機械学習による予測エンジンで、協同ファウンダのBrent NewhouseとMudit Gargによれば、それが、電子的医療記録や、スタッフ充足システム、外来患者数、ベッドのセンサ、緊急呼び出しボタンのデータ、天候情報、季節的疾病情報、地域のイベント情報などなど雑多なデータ信号を全変域にわたり摂取して、そこにリソースの需要予測に結びつくパターンを見つける。

その基本的なコンセプトは、“マシンに十分な量のデータと学習アルゴリズムを与えてやれば、パターンを見つけるか、少なくとも、今後起こりそうなことを適正な精度で見つけ出す”、というもの。実際にAnalyticsMDは、ベッドの増設必要量などを、実際に必要になる一日前までに予測できる。

またそのソフトウェアはリソースの需要の確率を計算するだけでなく、それらの増員増設に伴う費用と、医療サービスの質や患者の満足度も算定する。そしてそれらに基づいて、意思決定のためのリコメンデーションを出力する。

“予測の生成には不確実な面が必ずあるので、意思決定のための最終出力には、新規リソース導入の費用やメリットといった別の要素も加味しなければならない”、とGargは述べる。

“生産技術の分野から借りた考え方だけど、患者の数が23人になります、という特定の値を出すことよりも、重要なのは予測の分布だ。その分布空間の次元に、費用や満足度などがあるから、それらを勘案して最終的なリコメンデーションを作る”、とNewhouseが言葉を足した。

“予測の分布の履歴を知っていれば、最適費用や最小費用に基づいて比較的無難な意思決定を導ける。明日の患者の数が正確にわからなくても、費用に基づいて、保守的に行くならこれ、十分余裕を見るならこれ、というリコメンデーションができるのだ”。

複数のデータ信号をダッシュボード上に視覚化して見せるソフトウェアは多いが、しかしそれでは、スタッフがそこから何かを正しく判断することが難しい。AnalyticsMDのように、データの解釈==リソースの需要予測までやってくれて、しかも一定の幅のあるリコメンデーションを出力するサービスは、新しいと言える。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


投稿者:

TechCrunch Japan

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