研究結果:人はオンラインで即座に訂正されても虚偽情報を信じ続ける

なぜバーサー(オバマ大統領出生虚偽論者)や内部犯行説その他の陰謀論者たちは、物ごとを額面通りに受け取らないのか疑問に思っている人へ。 オハイオ州立大学の研究者2人が、人にはデータに対する即時訂正(instant correction)を無視、そして拒絶する傾向があることを発見した。

R. Kelly GarrettとBrian Weeksによる研究では、真実でない情報がニュース記事によって即座に訂正された時に何が起きるかを分析した。誤った情報を自動的に訂正するプログラムが存在するが、そのようなシステムはユーザーを「事実情報に対する抵抗が強くなる」よう仕向ける。そう、真実を読めば読むほど、人は固く信じた嘘を信じる傾向にある。

「人間は、単純に正確な情報を注ぎ込める容器ではない」とGarrettは言う。「誤認識の訂正は説得の仕事だ。矛盾する主張がある時、一つの主張の方が明らかに正確であることを納得させる必要がある」

実験では、電子カルテに関する情報を3ページ用意し、その1ページを被験者に渡した。そこには対立を生む可能性のある内容が書かれている。あるページには誤った情報が書かれており、「不正確な主張は斜体でカッコ内に赤で表示され、詳細な訂正がページの下部に書かれていた」。別のグループは誤りを含む記事を見せられ、3分間の作業を与えられた後、訂正文を提示された。最後のグループには、誤った情報だけが書かれたページが渡された。

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その後研究者らは、「一部の人たち(病院管理者、政府関係者等)にとって電子カルテが利用できると、どれほど良いこと悪いことがあるか」を尋ねた。電子カルテを支持する人々は高いスコアを付け、反対する人々はあたかも訂正されなかったかのように回答した。要約すると、訂正は彼らの意見や後の情報精度に何の影響も及ぼさなかった。

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ここから推定すると、もしあなたがオバマ大統領(実際には誰でも)の支持者なら、不正確な情報に対する訂正は、その情報についてあなたが思い出す内容を変えるだろう。もしあなたが反対派なら、訂正は意味を持たない。結論はこうだ。

事実情報を提供することは、学習、特に議論の起きやすい問題や論争中の事実に関する理解を促進するための、必要条件ではあるが十分条件ではない。この研究が明らかにしたように、個人は様々なバイアスに影響され、時には注意深く記載された証拠を拒否することもある。元になった情報の誤情報を訂正することが、そうしたバイアスを増大させることさえある。われわれのゴールは、この分野[誤り訂正システム]における将来の取り組みを妨げることではなく、デザイナーたちがこれらのバイアスを克服する際に役立つ様々な訂正提示戦略を提案することである。

「Dispute Finderのようなシステムは、アメリカ人のおよそ6人に1人いる、徹底した報道と事実確認にもかかわらずオバマ大統領が米国で生まれたことに疑問を持ち続ける人々の信念を、殆ど変えるこができないとわれわれは考えている」、Garretは語った。

[画像:Gigra/Shutterstock

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(翻訳:Nob Takahashi)