究極のウェアラブルはスマートフォンそのもの, と見切ったLarkがハードウェアからアプリに転向

Samsungの最新機種Galaxy S5の無料アプリの中には、このところ鳴りをひそめていた健康スタートアップLarkの新作アプリがある。

というか協同ファウンダでCEOのJulia Huによると、Larkはこのアプリの開発に没頭していたため、かなりの“ステルスモード”だったのだ。しかし、“個人化された健康指導”を提供するという同社のビジョンは前と変わっていない。その対象は、健康や体調のことは気になるけど、具体的な健康対策、たとえば一日に何歩以上歩く、といったことにあまり関心がなかった人たちだ。

しかし、そのビジョンの追求の仕方が、前とは違う。まず、Larkの助言(たとえば、長時間じっと座っていたからすこし歩きなさい、といった助言)が、これからはメッセージではなく対話形式で提供される。つまりアプリがユーザに活動について質問し、そして提案を述べる。こういう対話形式の方が、実際のコーチやアシスタントに近い、とHuは言う。

もうひとつの大きな違いは、前のようなアプリを載せた腕輪ではなく、スマートフォン上のアプリになったことだ。同社はSamsungと協力してS5の消費電力の少ないセンサを利用することにしたようだ。スマホのセンサでユーザの活動が分かるなら、専用のハードウェアは要らない。

というわけでLarkは、既存の顧客のサポートは続けるけど、ハードウェアの製造はやめるのだ。専用ハードウェアが要ることに比べると、アプリだけの方がずっとアクセス性が良い。ときどき充電してやるハードウェアの数が、自分の身の回りから減るのもありがたいだろう(私自身も腕輪のLarklifeを数か月使ったけど、結局そのあとは使わなくなった)。この変更を今やるのはなぜか? Huは曰く、スマートフォンが相当進歩したので、センサを利用するアプリを長時間使っても電池が十分保(も)つようになった。“電力消費の少ないセンサを搭載したスマートフォンは、究極のウェアラブルだ、と悟(さと)ったのよ”、とHuは言っている。

Larkの最初のローンチは、2010年のTechCrunch Disruptにおける無音目覚ましだった。その後のプレゼンテーションでは、ステージ上で突然の結婚プロポーズが行われ、審査員の一人だったSean Parkerが、その男に“お前本気か?”と問いかけた。同社はその後製品を多様化し、睡眠指導や、幅広い健康チェックとアドバイスを行うデバイスなどを売ってきた。

昨年のSECの資料などを見ると、Larkはまた新たに今度は310万ドルを調達したようだ。Huも今週、その資金調達の件を確認し、既存の投資家たちが同社の方向転換を支えてくれた、と言った。既存の投資家の中には、本誌TechCrunchの創業者Michael Arringtonが作ったVC CrunchFundもいる。

この健康指導サービスの料金は月額2ドル99セントだが、Galaxy S5のユーザは一年間無料だ。Huは、ほかのスマートフォンでもこのアプリをローンチしたいと言っているが、具体的な計画はまだない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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