国土安全保障省は、空港で入出国する旅行者の顔認証による検査を、これまで免除されてきた米国市民にも拡大しようとしている。
申請書類によると同省は、外国人旅行者だけでなく、米国市民を含む全旅行者に対して入国および出国前に顔認識チェックを実施することを提案した。
出発便乗客の顔認識は、国家安全保障局が不法滞在を摘発する取組みの一環として、最近行われることが多くなっている。国境と移民の管理を任務とする同省は、2021年までに米国の上位20カ所の空港に顔認識スキャナーを導入すると表明しているが、技術的課題を数多く抱えている。
空港で顔認識を回避する明確な方法ははっきりとは決められておらず、米国市民と合法永住者(グリーンカード保有者とも呼ばれる)は検査を免除されると現行規則に書かれている。
今回提案された米国市民を検査対象に含める規則変更は、国内最大級の人権擁護団体の怒りを買った。「再三再四、政府は国民と議員に対して、米国市民は旅行の条件としてこの煩わしい監視テクノロジーの対象になる必要がないと言ってきた」と米国自由人権協会の上級政策アナリストであるJay Stanley(
ジェイ・スタンリー)氏は語る。
「この新しい提案はそもそも不十分だった約束を政府が反故にしようとするものだ」と同氏。「旅行という憲法で守られた権利を行使するための条件として、米国市民を含む旅行者が横暴な生体認証を受ける必要はないはずだ。この強力な監視技術の大規模な導入を政府が強行することは、重大なプライバシー問題だ」とスタンリー氏は語った。
6月にナンバープレートおよび旅行者の顔写真が10万件近く漏出したことに加え、データ保護の十分な対策がなされていなかったことで、「このテクノロジーに関して政府を『信用することはできない』、立法府が介入すべきだ」と同氏は言う。
国家安全保障局および税関・国境警備局は、TechCrunchのコメント要求にすぐには応じなかった。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )