米連邦通信委員会が中国移動通信の通信インフラ参入申請を却下

FCC(連邦通信委員会)は中国移動通信(China Mobile)の米国市場参入の申請を却下する見込みだ。国営企業の中国移動は移動体通信プロバイダーとして世界最大であり、米国においてモバイルネットワークサービスの提供を申請していた。これに対し、FCC委員長は安全保障上のリスクを理由として認可に反対するという意見を公開した。米国のテレコムサービスにおいて重要なプレイヤーとなるという中国の試みはまた後退を余儀なくされそうだ。

中国移動は米国のモバイルインフラにおいて音声、データ通信事業を展開することを申請していた。FCCの広報担当者の電話記者会見によれば、米国のモバイルキャリアが中国にモバイルキャリアと通信を行う場合、そのインフラは現在中国側にある。

中国移動の申請を却下するというFCCの草案は明日公開され、5月に委員会で投票が行われる。申請は2011年に提出されていたが、今回アジット・パイFCC委員長はここれを正式に却下しようとしている。米国の安全保障上、決定的重要性9を持つインフラを外国組織が建設、運営しようとする場合、行政府の承認を必要とする。しかしトランプ政権は昨年この申請は認められるべきでないという見解を明らかにしていた。

ここ数ヶ月FCCの担当チームは中国移動のこれまでの活動を調査していた。アジット・パイ氏はその結果を次のように要約した。

中国移動の米国におけるテレコミュニケーションサービスを許可することは国家安全保障および法執行活動に深刻、重大なリスクを生じさせることが明白となった。このため中国移動の申請を認めることは公衆の利益に合致しないものと私は信じる。

外国勢力が重要な米国のインフラに参入を図るときに安全保障上の問題が伴うのは必然的だ。このような場合、リスクを軽減するための何らかの制限を課し、あるいは相手国政府との間で協定を結ぶことがある。たとえばドイツ企業がハード、ソフトで米国の通信インフラに参入する場合、こうした企業は米司法当局にデータへのアクセスを認め、ドイツの司法当局は捜査上の情報を米国に提供するなどの条件の下に認可される場合がある。

しかしこうした条件付き認可が行われるのは相手国との間に基本的な価値観の一致がある場合に限られる。問題の企業を(間接、直接に)所有している国家との間に信頼関係が存在シない場合は不可能だというのがFCCの見解だ。これはHuawei(ファーウェイ)が米国の5Gネットワーク構築に参加しようとしたのを退けたのとほぼ同様の理由だ。連邦政府は中国政府の強い影響下にある組織にはインフラ市場への参入の許可を与えないとしてきた。

「こうした理由による申請の却下は前例がないわけではないが、今回のケースでは行政府がFCCに対して安全保障上の理由により申請を却下すべきただと勧告した初めてのケースだという点に特に注意すべきだ」とパイ委員長は別の覚書で述べている。

すでに緊張している米中関係をさらに悪化させるかもしれないが、中国移動はこの結論を予期していたはずだ。申請がワシントンの官僚的手続きのブラックホールに吸い込まれた3年ないし4年たってもなんの回答もなかった時点で希望を捨てていたと思われる。

申請却下の決定の草稿は明日公開される。これには決定に至った理由と関連する証拠が含まれるはずだ。 FCCとしての賛否は5月9日に開催される公開の委員会における投票で決定される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

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TechCrunch Japan

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