2010年の始めにGoogleがLinuxベースのChrome OSを公開し、Chromebookのパイロットプログラムを同じ年に開始した時、評論家の殆どが、Googleは「Microsoftに核爆弾を落とした」という本誌MG Sieglerの主張に同意しなかった。数年が過ぎた今、たしかにMicrosoftはChrome OSをあまり恐れているように見えない。しかし、出足は遅かったものの、Chrome OSの機運は徐々に高まっているようだ。
かねてからGoogleはChromebookの販売に関しては沈黙を守っており、主として大企業と教育市場に集中してきた。それは今現在Chrome OSエコシステムの明確なターゲット市場でもある。しかしAcerは、199ドルC7 Chromebookが同社の米国向け出荷台数の5~10%であると言っていることから、一部のChromebookが一般ユーザーにも渡っていることは明らかだ。
Acerはこの199ドルのWiFi専用機で高価値を売りにしている。Samsungも249ドルChromebookおよびフル装備の449ドル機を提供している。両社ともChromebookプログラムの早い時期からGoogleと提携している。しかし、ここへ来てLenovoも429ドルのThinkPad X131e Chromebookで参戦することになり今月中に発売される予定だ。Lenovoがこの市場に参入するからには、同社もChromebookの勢い感じているのは間違いない。
ローエンドでは、この価格がノートPCの代用としてChromebookの魅力を高めているの間違いない。400ドル前後から始まる通常のWindowsノートPCと比べても安っぽさを感じさせない。昨年Googleが、より伝統的なウィンドウ管理システムに切り換えて以来、Chrome OSの使用体験は、以前のChrome独自のルックスに嫌気がさしていた人たちにとっても、ずっと親しみやすくなったはずだ。
それでも、現在2000以上の学校でChromebookが使われており、このデバイスの真の市場は教育分野にありそうだ。昨年来、iPadよりChromebookを使いたいという話を何人かの教育関係者から聞いている(生徒たちの考えはおそらく逆だろうが)。明らかに低価格で、サービス契約と管理者用コンソールが付いていることだけでなく、フルキーボードと大画面は、多くの教員や学校管理者にとってこのデバイスを魅力的にしている。定期的に自動アップデートされ、ウィルスに対してかなり安全であることも、従来型ノートPCと比較した時のセールスポイントになる。もちろんGoogleにとっては、これらの子供たちの多くが、将来GmailやGoogle DriveのGoogleエコシステムで育っていくことを意味している。彼らが大学に行ったり勤めたりした時にも役に立つことはもちろんだ。
GoogleがChrome OSを発表した時は、少々時期尚早だったのかもしれない。発表イベントでGoogleは、「ウェブのためのパソコン体験を考え直したい」と言った。しかし、WiFiや3G/4G通信は当時も今もまだ普遍的であるとは言えないため、Googleはオフライン機能やファイル管理機能をChrome OSに加えると同時に、Chromebookにも大容量ハードディスクを装備した。ウェブアプリは2010年当時まださほと強力ではなかったが、今はHTML5のおかげで伝統的デスクトップはそれほど必要ではなくなった。
Gooleはこれを長期的視野で見ているに違いない。近いうちにノートPC分野でWindowsやOS Xの市場シェアを脅かすことはなかろうが、この2年間でChrome OSが興味深いプラットフォームへと育ってきたことは確かだ。結局、自社ブラウザーをLinuxと軽装備ノートPCと組み合わせるというGoogleのアイディアは、それほどばかげていなかったということだろう。
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(翻訳:Nob Takahashi)