手のひらサイズの特製バッグを玄関口に吊るしておくだけで、不在時でも宅配物を受け取れる“置き配”バッグの「OKIPPA」。開発元の物流スタートアップYperは12月から日本郵便とタッグを組み、置き配バッグを活用した大規模な実証実験を都内で始める。
今回の実証実験はOKIPPAを活用することによる再配達削減の効果を検証するためのもの。東京都杉並区で1000世帯を募集し、参加者にはOKIPPAバッグ一式を日本郵便が無料で配布する。試験期間は2018年の12月3日〜12月31日まで、本日11月7日より参加者の募集をスタートした。なお、希望者は実証実験終了後もOKIPPAを利用できるという。
日本郵便と言えば、つい先日ゆうパックの置き配サービス(指定場所配達サービス)を3月18日より開始すると発表したばかりだ。
このサービスはゆうパックの「お届け予定通知」もしくは「ご不在通知」などのメールを受け取ったユーザーが、荷物の受け取り場所を指定できる仕組み。宅配ボックスや郵便受箱のほか、メーターボックス、物置、車庫が指定できるようになる。
今回の実証実験では上記の場所やツールではなくOKIPPAを活用。毎年12月は年末商戦やお歳暮などで宅配便の需要が増えるシーズンとのことなので、再配達の削減効果を確かめる意味でももってこいのタイミングと言えそうだ。
OKIPPAについては以前紹介しているので詳細はそちらの記事をチェックしてもらえればと思うけれど、スペースのない場所にも手軽に宅配ボックス環境を構築できるのが特徴。Yper代表取締役の内山智晴氏の言葉を借りると「しっかりとした作りの宅配ボックスと、ダンボールを指定の場所にそのままおく一般的な置き配の中間に位置する」ようなサービスだ。
専用のアプリからは荷物の配送通知を受け取れるほか、AmazonやZOZOTOWNなどECサイトから出荷された商品の配送状況を一元管理することもできる。
バッグ自体は月額課金制などではなく3685円(税別)の買い切り型。玄関口に固定する専用ロックと内鍵がセットになっているほか、有料オプションとして置き配保険も備える。普段から頻繁にECサイトを利用するようなユーザーを中心に「荷物の受け取り方の新たな選択肢」を提供することが目標だ。
今年7月には東京23区の100世帯を対象に約1ヶ月の実証実験を実施。参加者の約6割が週1回以上ECサイトで買い物をするヘビーユーザーということもあり、OKIPPA利用前の宅配ボックスがない環境下では再配達率が59.2%とかなり高かったそう。そのようなユーザーが実際にOKIPPAを利用することで、再配達率は最終的に15.9%と約43%削減。内山氏も一定の手応えを感じたという。
「ECサイトのヘビーユーザーが求める荷物の受け取り環境が十分には整っていない。そこが整備されれば再配達率を削減できるだけでなく、荷物の待ち時間が減りユーザーのストレスもなくなる。(待ち時間が減ることで)ECサイトでの購入頻度が増えることも期待できるので、配送会社、ECサイト、ユーザーそれぞれにとってメリットのある、新たな選択肢を広げていきたい」(内山氏)
ちなみにYperはいよいよ来週に迫ったTechCrunch Tokyo 2018 スタートアップバトルの参加企業。15日午前10時30分から行われるグループAにてピッチを披露する予定だ。