医師監修をうたう美容整形情報サイト「NICOLY(ニコリー)」。サービスを運営するニコリーは6月12日、全ての記事を非公開化したことを明らかにした。
ニコリーは美容整形にまつわる最新情報や施術に関する悩みなどを紹介するサイト。医師が記事の監修をすることで、信頼性を担保するとしていた。
同社が発表したところによると、6月9日にニコリーに監修として参画する医師が、医師監修記事の一部内容の信憑性についての指摘するブログエントリーを公開(同社は明らかにしていないが、時系列と内容から見て、渋谷高野美容医院 院長の高野洋一氏の「院長のお知らせ」と思われる)。これにともない翌10日未明に全記事の非公開化を実施。再発防止策をまとめたとしている。今後は、記事内容の再確認や再監修など行い、順次再公開するとしている。
またニコリーは、「いたずらに参画医師数を増やすことや、質よりも量(速さ)を優先し執筆や編集・医師監修を雑に行うよう指示すること、広告収入目的に検索結果の上位に表示させるためのブラックハットSEOを施したことはありません」と運営体勢について説明。さらに、現状はアフィリエイトでのマネタイズが中心で、診療費に比例する報酬を受け取るモデルは採用していないとした。こちらはいずれも前述のブログの内容に対する説明と思われる。
昨年後半に起こったディー・エヌ・エーの医療情報サイト「WELQ」の騒動はTechCrunchでも取り上げたところだ。しかしその騒動以後も、医療や美容の領域で、メディアの信頼性を揺るがすような話は少なくない。
例えばリッチメディアが医師監修をうたって運営する医療情報サイト「ヘルスケア大学」でも、4月頃からブログやSNSなどで記事や監修医師の信頼性に関する指摘があり、複数のメディアがこれを紹介。それを受けるかたちで、同社は6月12日に今後の施策について発表した。
メディア関係者に聞いたところでは、いまだに「(取材や監修などもなく)信頼できるサイトの情報をもとに記事を執筆して欲しい。1文字数円程度で」といった、信頼性や品質の担保が難しいようなライターへの執筆依頼を続ける医療や美容領域のメディアもいまだ存在するという。命や健康に関わる、高い専門性が求められる領域だからこそ、健全な運営が求められる。