自分株式の取引サービス「VALU」が千葉功太郎氏より数千万円調達、投機でない支援のためのSNSを目指す

模擬株式で自分の価値を取引できる「VALU」は本日、個人投資家の千葉功太郎氏を引受先とする第三者割当増資を実施した。金額は非公開だが、VALUの広報担当者によると数千万円規模という。

VALUは2017年5月31日にベータ版をローンチ。ローンチ当初、自分の価値が「時価総額」として数値化され、自身が発行する模擬株式「VA」を取引できるVALUは大きな反響を呼んだ。YouTuberやブロガーなど、多数のインフルエンサーがVALUに参加したが、全てが順風満帆でもなかった。

2017年8月、YouTuberのヒカル氏、ラファエル氏、いっくん氏、3人の株式を保有する井川氏が一斉に株式の大量売却を行い、彼らの株式を保有していたユーザーが損失を被る騒動が起きた。VALUは売買注文をすべてキャンセルし、一連の取引で発生した手数料収入は寄付するという措置を講じたことで騒動は収束したものの、ユーザーが安心してサービスを利用するためのルールの整備が追いついていないという印象を与えた。

この騒動後、VALUでは価格操縦行為の規制と利用者保護のためのルール作りを進めてきたと広報担当者は説明する。中でも大きな変更は、売却できるVA数を制限したことだ。騒動前までユーザーは自分のVAを制限なく売買できる状況だったが、現在は1回に売買できるVA数が発行発行数全体の10%未満までと制限をかけている。

投機目的ではなく、ユーザー間のコミュニケーションを促進するため、流動性が高くならないよう運営しているという。「騒動前は、売買を楽しむ場でしたが、今はSNSを楽しむ場、そこに支援したい方がいたら売買が発生するという投機ではないコミュニケーションができてきています」と担当者は説明する。

その効果があってか、現在、ユーザー数は8万人を超えたそうだ。VALUはファンや支援者を募ることができるサービスであるが、最近ではSNSとしても機能し、一緒に作品を作ったり、個展を開いたりする仲間が見つかる場にもなっていると担当者は話す。

今回の資金調達により、サービスのアプリ開発とグローバル展開を進める予定だ。まずはアメリカと中国でローンチし、その後欧州などの地域にも広げる。VALUはビットコインで取引する性質上、暗号通貨の法整備が進んでいる国から順次サービスを提供していく考えだという。

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TechCrunch Japan

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