自然言語理解APIを開発するヘルシンキの「Speechly」が2.4億円を調達

音声認識と「自然言語理解」の経験豊かな専門家チームを誇るヘルシンキのスタートアップ「Speechly」(スピーチリー)が、200万ユーロ(約2億4000万円)のシード資金を調達した。この資金で、開発者がプロダクトに音声UIを簡単に組み込めるようにしていく。

このラウンドはベルリンのCherry Venturesが主導し、Seedcamp、Quantum Angels、Joyance Partners、Social Starts、Tiny.vc、King.comにエグジットしたNonstop Gamesの共同創業者であるJuha Paananen(ジュハ・パーナネン)氏、Algoliaの創業者であるNicolas Dessaigne氏(ニコラス・デサイン)が参加した。Speechlyはこの資金を活用して、音声に関する専門家でなくても音声対応のアプリを作れるようにするためのAPIの開発をさらに進める。

Speechlyの共同創業者でCEOのOtto Söderlund(オットー・セーデルランド)氏はTechCrunchに対し、「ここ数年、音声の可能性は示されてきたが、キッチンタイマーをセットしたりSpotifyを再生したりする以上の真のブレイクスルーはまだ見られない。音声アシスタントプラットフォームが現在抱える根本的な問題は、ユーザーの複雑なリクエストやニーズに応えられないことだ」と語った。

セーデルランド氏によれば、Speechlyのソリューションは自然言語理解と音声認識を「革新的な方法」で組み合わせるもので、開発者は「極めて反応が早く、シームレスでマルチモーダルなユーザーエクスペリエンス」を作り、ユーザーが複雑な意図を表現したときに適切にガイドできるようになるという。

「友人にちょっと面倒なことを説明するのに、電話越しでは難しくても顔を合わせて話せばずっと簡単な場合がある。この違いは想像できるだろう」と同氏は語る。

Speechlyはこれを実現するために専用の音声認識技術を「イチから」設計し、既存のプロダクトよりずっと広範囲の音声関連ユーザーエクスペリエンスをサポートするという。

音声アプリが複雑な意図をもっと理解できるようにするだけではない。Speechlyは音声のビジネスケースに関する問題も解決しようとしている。同社は、アマゾンのAlexaやアップルのSiriといった現在の音声アシスタントプラットフォームは「他人のエコシステムの中で動作し」、貴重なユーザーデータを共有することを企業に対して強いていると主張する。

さらにSpeechlyは、現在のSDKとAPIは複雑すぎる、あるいは開発者はエンドユーザーのエクスペリエンスを十分に制御できないとも述べている。

さらにセーデルランド氏は次のように語った。「グーグル、アマゾン、マイクロソフト、アップルに加え、独自の音声言語理解(SLU)技術を開発している企業やスタートアップもいくつかある。我々も独自の技術を持っていて、独自のSLU技術を持っている企業が競合と考えている。しかし競合各社が主に提供しているプロダクトは、Siriがどんなものかを考えればわかるように、双方が順番に話す古典的な会話エージェントの比較的単純な延長線上にあるものだと我々は見ている。我々は音声UIの新しいビジョンを提供したい。それは、反応の良いマルチモーダルなフィードバックでユーザーをリアルタイムで「ガイド」し、もっと難しいタスクを解決するというものだ。我々のプロダクトで実現しようとしているこのビジョンは、ほかにはないと思う」。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。