カナダのカルガリーでクラウドファンディングされたPrintToPeerは、一つの建物内や世界各所にある3Dプリンタをネットワーキングする。そんなものは必要ない、という読者も多いと思われるが、昔のレーザプリンタのことを思い出してみよう。高価で電力を食いメンテナンスのたいへんなプリンタが一台だけ地下の機械室などにあって、一日中、プリントジョブの待ち行列ができていた。安価なプリンタのネットワーク、という発想はなかった。
ファウンダは、そんな昔を知らない20代のTom BieleckiとJames Thorneだが、彼らはバンクーバーのアクセラレータGrowLabで孵化した。そのシステムは、Raspberry Piを使ってジョブをプリンタに送る。
“そのRaspberry Piを3DプリンタにUSBでつなげば、すぐに使えるようになる”、とBieleckiは語る。
“3Dプリンタは扱いづらいし遅い。でもこのシステムを使えば、大量のプリントでも苦にならなくなる。ぼくたちは、自動化と抽象化の鬼なんだ。今回は、3Dプリンタという一見ばらばらな機械群を、共通のプラットホームで束ねたんだ。それによってソフトウェアデベロッパが、実用ユーザのためのアプリケーションを作れるようになる。ぼくたちのAPIを、いろんなデベロッパが使いこなして、おもしろい体験を作り出してくれることを、心待ちにしている”。
といっても、対応機種はMakerbotとMarlinの3Dプリンタで、それらに(というかRaspberry Piに)、今多くの3Dプリンタで使われているSTLのオブジェクトファイルを送信する。するとシステムがオブジェクトのデータをスライスしてプリンタに送る。プリンタマネージャが各プリンタの稼働状況を表示するとともに、各プリンタのジョブが終わったら通知する。ぼくも3Dプリンタを使っていて、いちいち二階に上がって行って状況をチェックするのはいやだから、プリンタマネージャを使えるだけでもこのシステムはありがたい。
PrintToPeer自身はオープンソース化されるが、Raspberry PiとカメラとSDカードに焼かれたソフトウェアのセットは、140ドルで買う。同社は今、このプラットホームで何かをするデベロッパを求めている。彼らのお値段は15000ドルだ。
“3DプリントにDRMという鍵をかけて、高い塀で囲まれた庭に閉じ込めている企業もある。でも、そんな企業に消費者はそっぽを向くだろう。顧客に選択の自由を与えないのは、よそへ行かれるのが怖いからだが、われわれはそんな状況をイノベートしたい。そして豊かなユーザ体験を作り出したいのだ”、とBieleckiは述べる。
“3Dプリンタはハードウェアに話題が集中して、ソフトウェアのことは忘れ去られていた。でもそれでは、使いやすい環境がいつまでたってもできない。たとえば3Dプリンタが学校で使われるようになったら、それらをネットワーク化して共有することが必須になるはずだ”。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))