言葉もわからない旅先での体調不良に困る旅行者と地元医師をつなぐAir Doctorが約8.4億円を調達

旅行者と旅先の医師をつなぐ、ヘルステックスタートアップのAir Doctor(エア・ドクター)が、シリーズAで780万ドル(約8億4000万円)を調達した。ラウンドはKamet Ventures(AXAが支援するベンチャービルダー)と、The Phoenix Insurance Companyが主導した。

2016年に設立されたAir Doctorは、海外で体調を崩し緊急ではないアドバイスや処置が必要な旅行者の力になることを目的とするスタートアップだ。同社は旅行者が旅行保険または福利厚生制度などを介してアクセスできる、ローカルな民間医師のネットワークを作り上げた。このプラットフォームは5大陸の42カ国で利用することができ、場所、言語、専門分野、および費用で検索できる。

「Air Doctorは創業者チーム自身の旅の経験から生まれました。外国で病気になって、誰に連絡すべきなのか、どうすれば必要な対応を受けることができるのかがわからず、恐ろしい気持ちになったからです」と語るのはAir DoctorのCEOで共同創業者のJenny Cohen Derfler(ジェニー・コーエン・ダーフラー)氏だ。

「製品開発責任者のYam Derfler(ヤム・ダーフラー)は、南アメリカを8カ月間旅行した際に、このアイデアを思い付きました。別々のタイミングで病気になった彼と彼の友人は、英語を理解する医師を見つけることが多く、まったくお手上げだと感じたのです」。

Air Doctorが当初、旅行中の患者に焦点を当てていたが、ダーフラー氏はすぐにこれは、旅行者一般を取り巻く医療エコシステム全体に影響を与えるものであることに気がついたと語る。

「地元の医師たちには、まったく新しい個人顧客のグループにアクセスするための信頼できる方法がありませんし、保険会社は面倒で問題のある医療サービスに莫大なお金を浪費していて、医療サービスに関連した顧客体験を向上させたいと思っています。そして旅行代理店は自社のパッケージに信頼できるサービスをバンドルしたいと思っているのです。すべての関係者にメリットをもたらすプラットフォームを構築する必要があることが、明らかになったのです」と彼女は言う。

Air Doctorは、医療専門家のグローバルネットワークとデジタルプラットフォームを組み合わせて、保険会社のコストを削減し、クレジットカード会社や携帯電話会社に付加価値の高いソリューションを提供することができる。ケア提供側から見た場合には、このシステムは医師の収入とデジタルでのプレゼンスを高めると同時に、海外旅行者にその母国語で「最高レベルの医療」を提供できると同社は主張している。

「私たちの目的は、世界中のすべての旅行者が、必要なときに経験豊富な地元の医師や専門家に連絡できるようにすることです。そうすることで、病院や観光客向けクリニックに行かなくても済むお手伝いができるのです」とダーフラー氏は付け加えた。

最初にAir Doctorの顧客となったのは、イスラエルの大手保険会社の1つであるThe Phoenixだ。同社はその後、このシリーズAラウンドに参加し投資を行った。The Phenixは、Air Doctorを自社の顧客に紹介することにより、請求コストを削減して損失率を削減することができた。これは救急サービスではなく外来診療所に患者を誘導することで支払いを削減できたからだ。

「私たちの最大のセールスポイントは、コントロールです」とAir DoctorのCEOは強調する。「旅行中に病気になったときには、自分の状況をコントロールできていると感じたいものです。私たちのオンラインプラットフォームは、患者が自分のニーズと好みに最も適した医師を選択できるように、幅広く地元の開業医に関する豊富な情報を提供することによって、患者が解決策を迅速に見つけるのに役立ちます。最も重要なのは、母国語を使った医療サービスへのアクセスを支援することです。これは、自分の状況をコントロールできると感じるという点で、最も大切なことの1つです」。

今回の最新のラウンドは、Air Doctorが2018年7月に行った310万ドル(約3億3000万円)のシードラウンドに続くものだ。今回の新たな資金は、Air Doctorの医療ネットワークと研究開発能力を強化し、保険、通信、そしてクレジットカード業界を横断した国際的な事業拡大のために使用される。

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(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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