多様なコースを提供して、誰もが何でも学べるオンラインの自主学習プラットホームUdemyが、このほどシリーズDで6500万ドルを調達した。このラウンドをリードしたニューヨークのレートステージ(late-stage, 成熟期)専門のVC Stripes Groupは、ほかにもGrubHubやElance/Odesk、Blue Apronなどマーケットプレース系スタートアップの大手をポートフォリオに抱えている。
既存の投資家NVPとVenture Partnersもこのラウンドに参加し、Stripe Groupの常勤パートナーKen FoxがUdemyの取締役会に加わる。これでUdemyの調達総額は、2010年のローンチ以来の累計で、1億1300万ドルになる。
Excelのモデリングからラップの歌い方に至るまで、Udemyが今提供しているコースは3万以上あり、インストラクタは全世界から17000名、80の言語が使われている。料金はインストラクタ自身が決めるが、1コース20ドルから100ドルあたりがいちばん多い。
“すばらしい先生が世界中にいるけど、必ずしもその全員が教室で教えているわけではない”、とUdemyのCEO Dennis Yangは述べる。
“われわれを取り巻く世界はますます急速に変わりつつあるから、従来の教育システムは変化に追随できない”、と彼は言う。
とくにそう言えるのが、テクノロジ産業だ。Yangによると、Apple Watchのローンチから今日(こんにち)までの数か月で、Apple Watchのアプリ開発を教えるコースが130以上(6言語)Udemy上に登場した。物理的な建物のある学校や大学では、どうだっただろうか。
このプラットホームの人気トップのクラスが“The Complete Web Developer Course”(完全なWebデベロッパコース)で、今現在11万1000名の生徒が、この29時間のコースでさまざまなプログラミングスキルを学んでいる。
Udemyは同プラットホーム上に登場したコースを監視し、インストラクタが自分のコンテンツを良くするためのツールも提供しているが、実質的にコースのクォリティをコントロールしているのは700万人のユーザだ。良いコースは評価が上位になるし、リビューによる競争があるためインストラクタはつねに、自分のレッスンの改良に努めざるをえない。
Stripe GroupのKen Foxはこう言う、“Udemyがこれだけ強力なのは、レッスンの制作と開設を既存の教育機関に依存していないからだ。いわばUdemyは教えることの民主化であり、誰から教わるのがいちばん良いかを生徒自身が決める”。
このことは、合衆国以外の国々にいるUdemyの全ユーザの2/3にとって、とくに有益だ。それらの国では、教育へのアクセスが困難な場合もある。Udemyの売上の半分は合衆国以外からであり、Yangによると、英語以外を母国語とする人びとのためのコースが、このところますます増え、多様化しているという。
今回の資金の多くは、Udemy for Businessの拡充整備に充てられる。今ではおよそ200の企業が、自社の社員のための独自の教育ポータルをUdemy上に構築している。たとえばGoldman Sachsは、Udemyを使ってアナリストを教育訓練しており、そのために、自社製のコンテンツと、Udemyから選んだコースのミックスを使っている。
“この惑星の上には70億の人間がおり、そのほとんど全員が、教育の価値を認めている。うちは今700万人だから、その上っ面(うわっつら)をちょっとかすったにすぎない。だから、成長の余地がものすごく大きいと言っても、けっして過言ではない”、とYangは語る。