スタートアップのデータベース「entrepedia」を提供するジャパンベンチャーリサーチ(ユーザーベースグループ)は3月23日、国内スタートアップの資金調達情報をまとめたレポート「Japan Startup Finance 2017」を公開した。
これは2月にTechCrunchでも紹介したレポートに詳細なデータやセクター別、投資家タイプ別の分析を加えたものだ。本稿では一部抜粋して紹介する。
2017年の調達額は2717億円、1社あたりの平均は3億円突破
2017年の調達額は過去10年で最高となる2791億円(前年比で21.7%増加)。社数は金額不明のものも含めて1101社となっていて、ここ5年においてはもっとも少ない。
ただし1社あたりの平均調達額は拡大傾向にあり、2017年は3億円を突破した(前年比で27.6%増加)。
半数が1億円以上の調達、10億円超えの大型調達も増加
調達額の規模別で内訳を見ても、数年前まで多くのボリュームを占めていた5000万円未満の割合が減り、億単位の調達案件が増えてきている。2017年は1億円以上の調達をした企業の割合が半数を超えた。
10億円以上の大型調達の件数もここ5年は毎年増加傾向にある。2017年には59社が二桁億円の資金調達をしている。
調達額ランキングトップはPreferred Networks
レポートでは2017年の調達額ランキングの上位30社も紹介されている。これによると昨年最も多くの資金を集めたのは、深層学習技術の研究開発を行うPreferred Networks。トヨタらから100億円以上を調達して注目を集めた。
TechCrunchで過去に取り上げている企業では宇宙ベンチャーのispaceやレシピ動画メディア「kurashiru(クラシル)」のdely、同じくレシピ動画メディア「DELISH KITCHEN」などを展開するエブリー、名刺管理アプリのSansan、スマホ証券のOne Tap BUY が上位にランクインしている。
なおdelyとエブリーについては2018年に入ってからすでに大型の調達を発表。delyは1月にソフトバンクなどから33.5億円を、エブリーはKDDIから30億円を集めている。
IPOの件数はほぼ横ばい、バイアウトは増加
資金調達ではなくエグジットの動向についてはどうか。
まずIPOについては前年比で多少増加しているものの、ここ数年で大きく増えたということはないようだ。2017年に上場したスタートアップとしては家計簿アプリやクラウド会計ソフトを展開するマネーフォワード、ビジネスSNSや名刺管理アプリを手がけるウォンテッドリー、ユーチューバーのマネジメントを行うUUUMなどがあげられる。
一方で買収・子会社化・主要株式取得の件数は増加。KDDIによるソラコムの買収、DMM.comによるバンクの買収などは金額も大きく話題を呼んだ。
今回紹介したレポートでは、このほかFinTechや人工知能などセクター別の動向や、VCや事業会社など投資家タイプ別の状況も紹介されている。そちらについては本編を参照していただきたい。