オフィスの常設冷蔵庫に野菜を定期的に届ける、野菜版の“置き菓子”サービス「OFFICE DE YASAI」を運営するKOMPEITOは3月23日、総額1.5億円の第三者割当増資を実施したことをあきらかにした。引受先はニッセイ・キャピタル、ツネイシキャピタルパートナーズ、米国シリコンバレーの投資会社NOS Ventures LLC、ブルーストーンキャピタル代表取締役の菅下清廣氏、SHIFT代表取締役の丹下大氏ら。
OFFICE DE YASAIは2014年に都内でサービスをスタートした、野菜・果物を中心としたメニューをオフィスに定期的に届けるサービスだ。現在のメニューは加工品を含め10〜20種類で、週2回から配送。2014年のサービスローンチ時には、ミニトマトやキンカンなどカット加工が不要な野菜をパックして届けていたが、現在は、より食べやすいスティック野菜やサラダ、カットフルーツなども提供している。
KOMPEITO代表取締役社長の川岸亮造氏は「加工から配送までの鮮度管理の質の向上もあってメニューの幅が広げられた。また、既存株主でもあるキユーピーの協力を得て、野菜カット加工の委託先工場に対する衛生監査や、品質アドバイスを受けている。安心・安全の基準についてはかなり高いと自負している」と語る。
サービス地域は全国を対象としているが、現状では、配送員が直接オフィスに野菜を届けるフルサービスの対象は都心に限られ、福岡や大阪などへは宅配便を利用しての配送となっている。川岸氏は「朝日新聞サービスアンカー(ASA)との提携で都内の配送網の基盤強化や効率化は進んだ。今後、順次エリア展開し、対象地域も広げていきたい」と言う。
OFFICE DE YASAIは、企業との契約で月額利用料3万円からサービスを提供。契約企業の従業員は基本メニューでは100円、一部メニューでは50円を商品代として負担する。「企業には福利厚生の一環として採用してもらっている。さらに、1月からは昼ご飯にもなるボリューミーな新メニュー『パワーサラダ』の提供も始めた。パワーサラダは700円(税別)+送料で、5パックから売り切りで企業に提供するプラン。当社では400円を企業が負担し、300円を従業員が払うというパターンをおすすめしていて、企業にとってはリーズナブルに利用できるプランと考えている」(川岸氏)
オフィスのランチ事情というと、既存の競合としてはコンビニエンスストアが、また最近のサービスでは「UberEATS」なども競合として考えられる。川岸氏はこれらの店舗やサービスについては、どう考えているのか。「確かにオンデマンドで食事を注文できるのはUberEATSの強みではあるが、OFFICE DE YASAIなら、オフィスで実際の商品を見て選べる。またコンビニと違ってオフィス内に冷蔵庫があって、昼食はもちろん、お菓子代わりにも、朝や夕方にちょっとお腹がすいた時にも、野菜やフルーツを食べることができる利点がある」(川岸氏)
今回の調達によって、KOMPEITOの資本金は2億円超(資本準備金含む)となる。KOMPEITOでは調達により、マーケティングやブランディングを強化し、顧客の拡大を目指す。現在400社の利用企業を1000社規模とすることが目標と言う川岸氏は「まずは顧客数のオーダーを変えたい。商品や情報を届ける場所が増え、桁が変わることで、野菜を買えるだけでなく、オフィスに価値を提供することを効果的に行うことができるようになる。2015年から始めたマーケティング支援事業などもその一つだ」と話す。「“食”という部分ではこれまでに品質を飛躍的にレベルアップすることができた。これからは数の面でも打って出たい」(川岸氏)