ロシアのチェリアビンスク地方に落ちた隕石で、 推定500名の負傷者〔その後の報道では1200名〕が生じた。モスクワから900マイル、ウラル山脈の近くのその地に、一体何ごとが起きたのかと人びとが色めき立っているとき、彼らの野次馬欲を満たしたのが、一般人が車のダッシュボードから撮(うつ)したしろうとビデオだった。
ロシアでは、車のダッシュボードにビデオカメラを据え付けている人が多い。それは、証拠画像を録画しておいて、事故のときに自分の立場を守るため、あるいは悪徳警官に交通違反の罰金(と称するワイロ)を取られるのを防ぐためだ。
Marina Galperinaという人が、こう説明している:
ダッシュボードカメラの記録は、裁判で自分の主張を裏付けるための唯一の方法だ。目撃者は、あてにならない。接触事故は日常茶飯事であり、保険会社は被害者の主張を拒否することで悪名高い。車両込みの保険は保険料がきわめて高く、車の車歴が10年以上なら認められない。事故の大小を問わず、先方の加害者ないし被害者は警察に必ず嘘をつく。追突は、ほとんどの場合当て逃げだ。保険は加害者が見つかって訴えられないかぎり下りないから、ダッシュボードのカメラが逃走する車のナンバーを記録していることが、とても重要なのだ。
〔上の文の一部は、Wikipediaの記事からの引用。〕
ロシアのダッシュボードカメラの数については、約100万という推計がある。これまでにもYouTube上には、無謀運転や車からの銃撃など、とんでもない運転シーンをロシアの人びとが撮った、おびただしい数のビデオが氾濫している。そのすべてが、ダッシュボードカメラから撮られたものだ。そして今回は、ロシアの一般市民ドライバーが、隕石の落下を報じる市民ジャーナリストに変身したのだ。