このところあちこちで、“非集中型Web(decentralized web, 自律分散型Web)”なるものをめぐる議論を目にするようになった。たとえばWebの始祖と呼ばれるSir Tim Berners-Leeも、それを熱心に主張している。しかしこの言葉には、みんなが一致して認めている単一の明確な定義がない。でも、この言葉が指している事態の性質からすれば、それも当然かもしれない。
そこで、シラキュース大学の情報科大学院(School of Information)は、テクノロジー世界の24名のエキスパートやリーダーたちの、さまざまに異なる見解をまとめた。
Internet ArchiveのBrewster Kahleは、字義通りだけど見事に簡潔な定義を述べる:
“多くの場所からサーブされる(多くの)Webサイト。それらの場所は他からコーディネートされていない。”
アリゾナ州立大学のEric Newtonは、暗喩を使う:
“私たちとコミュニケーションの関係が、地域農業と食べ物の関係のようであること。自分たちの食べ物だけでなく、自分たちのための情報も自分たちで育てる。”
著作家で活動家のCory Doctorowはこう言う:
“アーキテクチャやサービスやプロトコルを集中的にしようとする試みに抵抗して、特定の個人や国や企業がコントロールできないようにしたWebの設計。”
Wikimedia FoundationのJake Orlowitzは長広舌だ:
“非集中型Webは、われわれみんなのものになったWebだ。それを動かす力は、私たちのお互いの結びつきだけだ。そのアーキテクチャは私たちが価値と認めるものを伝え、その使われ方は、相互協力と共有と創造性を支える。
残る20はここで読める。おもしろいのは、全員が同じテーマに集まっているのに、各自さまざまな側面を強調していることだ。非集中型Webも、こうなるのかもしれない。多くの点が結び合っているが、そこに共通の権威はなく、意図(〜想い)の共有によってのみ結ばれ合う、と。