視覚障がい者にとって、驚くほど高度なコントロールと読み上げおよび点字の出力精度を備えたJAWSは、Windows PCを操作する自由の代名詞だ。JAWSはキーボードドリブンのアプリケーションで、ウェブサイトやWindowsソフトのGUIベースのインターフェイスを操作できるようにする。JAWSを使いこなす人がPCを操作する様子を聞けば、操作する人のスピードとJAWSから返ってくる機械音声の早口に驚嘆するはずだ。ちなみにJAWSはJob Access With Speechの頭文字をとった名前である。
JAWSは25年近くスクリーンリーダーの分野をリードし、世界中で何十万もの人々に使われている。現代の支援技術の中で最も素晴らしい功績のひとつであることは間違いない。25年以上にわたってJAWSのアーキテクトを務めているGlen Gordon(グレン・ゴードン)氏をSight Tech Globalのプログラムに迎えることになった。Sight Tech Globalは2020年12月2~3日に開催されるバーチャルイベントで、AI関連テクノロジーが障がい者支援技術やアクセシビリティに今後どのような影響を与えるかをテーマとする。参加は無料で現在登録を受け付けている。
生まれつき視覚に障がいのあるゴードン氏は「グラフィカルユーザーインターフェイスをアクセシブルにすることができるかどうかまったくわからなかった時代にWindowsを使いたいと思ったわがままな願望」からアクセシビリティに関心を持った。同氏はUCLAアンダーソンスクールでMBAを取得し、「アクセシブルでないソフトウェアを使う厳しい体験と大変なフラストレーション」を通じてソフトウェア開発を学んだ。オーディオとブロードキャスティングに詳しく、Freedom Scientific社のポッドキャスト、FSCastのホストでもある。
JAWSの最新のパブリックベータでは、この名高いソフトウェアの未来が垣間見える。ユーザーの音声コマンドで動作する「ボイスアシスト」が搭載され、画像の説明がこれまで以上にスムーズになったのだ。どちらも、Freedom ScientificのJAWSチームがJAWSやFUSION(JAWSと画面拡大ソフトのZoomTextを組み合わせたツール)で使っているAIテクノロジーのおかげだ。このアップデートでJAWSの難題が2つ解決される。おじけづいてしまうユーザーもいるほどのキーボードのコマンドセットの複雑さと、画像を十分に説明しているとは限らないaltタグだ。
ゴードン氏は「JAWS、ZoomText、Fusionの今後のバージョンでは、自然言語処理によりスクリーンリーダーのコマンドの多くを話し言葉で実行できるようになる。おそらくすべてのコマンドをしゃべるのは望ましくないだろうが、あまり使わないコマンドにボイスアシスト機能を使えば覚えなくてはならないキーの組み合わせを最小限にすることができる」と説明する。
「大まかに言うと、小さなコマンドセットで効率よく使えるようにしたいと思っている。これは基本的には、我々のプロダクトをもっと賢くし、ユーザーのしたいことやニーズをそれまでのアクションに基づいて予測できるようにするという意味だ。そこに至るプロセスは精度が低く、我々は引き続きユーザーからのフィードバックをもとに優れた機能にしていく」(ゴードン氏)。
次世代のスクリーンリーダーではさまざまなテクノロジーとともにAIが活用される。このことは、2020年12月2〜3日に開催されるSight Tech Globalの主要なトピックとなるだろう。無料のパスを今すぐ申し込もう。
Sight Tech Globalではスポンサーを募集している。現在、Verizon Media、Google、Waymo、Mojo Vision、Wells Fargoがスポンサーとなっている。イベントはボランティアによって運営され、イベントの収益はすべてシリコンバレーにあるNPOのVista Center for the Blind and Visually Impairedの収入となる。
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(翻訳:Kaori Koyama)