産業革新機構と訪問介護サービスなどを提供するセントケアHDは4月14日、共同出資によりAIによる自立促進・重度化予防のケアプランを提供する新会社、シーディーアイを設立すると発表した。
今回の出資には上記2社のほかにも、日揮、介護サービスのツクイ、社会福祉法人のこうほうえん、介護サービス事業者などが参加。出資総額は15億円だ。
少子高齢化が進む日本では、社会保障費の増大や介護現場における人手不足が社会的問題となっている。そのような状況のなか、シーディーアイは要介護者の体調や症状に合ったケアプランを生成し、自立支援・重度化予防につながるケアマネジメント・システムを開発していく。このシステムには人工知能が利用されており、過去に介護サービスを受けた要介護者のケアプランをAIが学習し、ケアプランの生成まで行うという。
このビジネスは元々、セントケアHDが自治体と連携して実証研究を行ってきたものだった。そして、この事業の社会実装を目的としてスピンオフされたのがシーディーアイである。同社はシリコンバレーのActivity Recognitionとの事業提携も発表しており、自治体などと共同でAIケアプランを活用した調査研究を行っていくとしている。
みずほコーポレート銀行の調査によれば、日本の高齢者人口(65歳以上)は2025年のピーク時には総人口の30%超に達し、高齢者向け消費市場は101.3兆円にまで拡大するという。2007年の62.9兆円と比べると約61%の伸びだ。その内、介護産業は12.5兆円の市場規模をもつと見られている。
このように、高齢者向け消費市場は巨大な規模をもち、社会保障費の負担増大を問題視する国や自治体もフォーカスする分野。介護だけに限らず、先日TechCrunch Japanでも紹介した「まごチャンネル」など、高齢者をビジネスの中心に捉えたシニアファーストなスタートアップが今後も増えてきそうだ。