通信事業者、通信規制当局、モバイル・オペレーティング・システム開発者、スマートフォンメーカーの尽力と、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的の流行にもかかわらず、2020年もスパムコールは世界中の人々に迷惑や詐欺をもたらし続け、その状況は悪化の一途を辿っている。
ストックホルムに本社を置くTruecaller(トゥルーコーラー)によると、2020年1月から10月までの間に世界中のユーザーが受けたスパムコールは313億件で、2019年同期の260億件から177億件から増加しているという。
発信者識別アプリで最もよく知られている同社によると、2020年は米国人が1カ月に受けたスパムコールは平均は28.4件になると推定され、2019年の18.2件から増加する見込みだ。ブラジルではすでに昨年、1人あたり平均45.6件 / 月という憂慮すべき数字だったが、今年はさらに49.9件にまで増加。スパムコールによる最悪の影響を受けた国であることは変わらないと、トゥルーコーラーはこの件に関する年次報告書で述べている。
しかし、3年前に最もスパムコールの被害が多かった国としてトゥルーコーラーのチャートでトップになったインドを含むいくつかの市場では、新型コロナウイルスの感染拡大によりユーザーが対応しなければならなかったスパムコールの量は減少している。トゥルーコーラーの最大市場であるインドは、ユーザー1人あたりの月間スパムコール数は昨年の25.6件から16.8件に減少し、今年のチャートでは9位に下がった。
「新型コロナウイルスの大流行は、世界経済や社会だけでなく、スパマーの行動にも直接的かつ間接的に影響を与えています。ウイルスが世界的に急激に広がるにつれ、スパムコールは3月頃から減少し始めました」と、トゥルーコーラーは述べている。同社は1450億件以上の匿名通話を分析してこの結論を導き出した。
「スパムは世界的に厳しい外出規制とロックダウンが実施された4月に最も少なく、全体的な通話量もこの期間に減少しました。しかし、この時期からパンデミックの不確実性を利用した詐欺が報告されるようになりました。5月に入るとスパムコールは再び増加し始め、月平均9.7%の増加となっています。10月はスパムコールが過去最高を記録し、ロックダウン前の期間と比べて22.4%増加しました」。
同社のレポートには、他に次のような傾向が報告されている。
- 我々と同じように、スパマーも週末には仕事を休むようだ。毎週土日のスパムコールは世界的に減少傾向が見られる。
- 2019年、上位10カ国は南米地域が占めていた。2020年はチリ、ペルー、コロンビアでスパムコールの減少が見られた。
- ハンガリー、ポーランド、スペイン、イギリス、ウクライナ、ドイツ、ルーマニア、ギリシャ、ベルギーなど、多くのヨーロッパ諸国が2020年は上位に浮上している。2019年はこれらの国のいずれも20位圏外だった。
- スパムコールはヨーロッパと米国で最も増加している。ハンガリーが最大の増加(1132%)を示し、次いでドイツ(685%)、ベルギー(557%)、ルーマニア(395%)となっている。
- アジアではインドネシア(18.3%)、インド(16.8%)、ベトナム(14.7%)、ロシア(14.3%)が最も被害を受けている。
- 一般的なスパムコールのカテゴリーで、詐欺電話とロボコール(自動ダイヤルと自動音声を使った営業目的の電話)のシェアが世界的に増大している。
- 詐欺電話の増加は、パンデミックを利用する詐欺師が原因。
スパムコールは人々に迷惑をもたらすだけでなく、人々から金銭を詐取するために使われている。
トゥルーコーラーの以前のレポートによると、今年は5600万人もの米国人が電話詐欺で金銭を失ったと報告されており、197億ドル(約2兆500億円)がこのような詐欺電話で失われたと推定されている。
また一部の市場では、信頼できる機関(通信事業者や銀行など)がこの種の電話の多くに関与しているため、避けることが困難な場合もあると報告書では指摘している。たとえば米国で受電されたスパムコールの約9%は、通信ネットワークからの電話であったという。
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カテゴリー:セキュリティ
タグ:新型コロナウイルス、COVID-19、スパムコール
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(翻訳:TechCrunch Japan)