僕たちが1日に一度は触れるであろうスマホブラウザ。そこへPCのようにタブを複数開いて調べものをするという体験や、調べたいものをカメラにかざすだけで検索結果を表示する「かざして検索」など、イノベーションを起こそうとしているのがアスツールだ。そんな同社は4月18日、彼らが開発するスマホブラウザの「Smooz」にまたちょっと新しい新機能を追加した。
今回の新機能は、AIが次に読むべきWebページをリコメンドするというもの。そのときに読んでいるWebページの文字を自然言語処理にかけ、そのカテゴリーやキーワードを抽出。ユーザーが気に入るであろうWebページをリスト化してリコメンドする。例えば、野球の大谷翔平選手がホームランを打った、という記事を読んでいれば、大谷選手の他の試合の記事を自動でオススメしてくれる。
アスツール代表取締役の加藤雄一氏は、今回の新機能について、「YouTubeで動画を観ていると、右側におすすめ動画が表示されてどんどん観てしまう。そんな体験を作りたかった」と話す。
現在、数十万人の月間アクティブユーザー数をもつSmoozでは、1日あたり約300万ほどのWebページが読み込まれている。同社は、ユーザーがそのページを読了したか、スクリーンショットは撮ったか、などのデータも記録していて、そこからWebページの“質の高さ”を判別する。今回の新機能では、Webページの文章から得たユーザーの趣向に合い、かつ質の高いものから順にリコメンドしていく仕組みだ。
従来のウェブブラウザでは、何かしらのWebページにたどり着くまでにユーザー自身が適切なキーワードを選び、検索にかけるというステップがある。アスツールは、そのステップすらも排除して快適なWebサーフィン体験をスマホで実現する、というのだから、結構野心的な試みだ。
また、今回の新機能はアスツールのビジネスにも大きな意味をもつ。リコメンドする記事のなかにインフィード型の広告を埋め込むことで、今後は広告収入を得ることが可能になったのだ。もともとSmoozには、AIを使った検索クエリのリコメンド機能が備えられていた。今回の新機能によってAI活用という点では第二フェーズに突入したSmoozだが、プレミアムサービスへのユーザー課金以外に追加のマネタイズ手段を得たことで、アスツール自身も新たなフェーズへと進むことになるのだろう。
2016年3月に創業のアスツールは、同年9月にSmoozをローンチ。11月に開催したTechCrunch Tokyoのスタートアップバトルにも出場している。2018年2月には、iOSおよびAndroid版の全世界配信も開始。今のところ、日本のほか、アメリカ、インド、アラビア語圏の国々でよく利用されているという。
加藤氏は、「新機能はまだ完全ではない。今年は新たな機能をさらに追加するのではなく、リコメンド機能の精度を上げることに注力する。また、グローバルリリースによって得た国ごとの細かなニーズに応えていくことも並行してすすめたい」と今後の戦略について語った。