SNSにアップされた事件・事故情報やその画像などを報道機関に提供するSNS速報サービスの「Spectee(スペクティ)」。
その運営元であるSpecteeはもう1つ、テレビ局など報道機関での利用を想定したサービスを開発している。人工知能がヒトに近い音声で文字を読み上げる、AIアナウンサーの「荒木ゆい」だ。
報道機関の記者が他の作業をしながらでもニュースを追えるよう、Specteeには事件・事故の概要を端的に伝える「見出し」を自動で生成し、それを音声で読み上げる機能が備わっていた。荒木ゆいは、その読み上げ技術を生かしたサービスだ。
荒木ゆいのベータ版は2017年11月にリリースされていたが、Specteeは3月1日、荒木ゆいの読み上げ音声を自動生成できる商用サービス「AI アナウンサー『荒木ゆい』ボイス・プラットフォーム(略称、ゆいプラ)」をリリースすると発表した。
ベータ版リリース後の反応についてSpectee代表取締役の村上建治郎氏は、「読み上げのクオリティは(他社サービス)よりも高いという評価を頂いた。おかげで、テレビやラジオでも取り上げて頂いたり、実際に30分番組の通しナレーションを荒木ゆいが行うという事例もあった」と話す。
荒木ゆいの読み上げクオリティがどれほどのものか知りたい読者は、以下の動画を観ると分かりやすいと思う。
この荒木ゆいの読み上げ機能をクラウドサービスとして公開したのが、ゆいプラだ。ユーザーが原稿を入力すると、荒木ゆいがそれを自動的に読み上げる。音声ファイルはダウンロードできるほか、音のピッチを変えたり、アクセントの位置を調整したりといったチューニングも可能だ。
ゆいプラの基本料金は月額9800円。これで20回分の音声ファイルをダウンロードすることができる。ダウンロード回数を使い切った場合には、2450円で5回分を追加購入できる。なお、SpecteeはアプリやWebサービスの開発者向けに音声読み上げ機能のAPIも併せて発表している。
Specteeは2014年2月の設立。SNS速報サービスのSpecteeは現在、130社以上のテレビ局や新聞社に導入されているという。最近では、野外イベントの警備などを目的として、警備会社や地方自治体がSpecteeを導入する例も増えているようだ。
村上氏はAIアナウンサー事業の今後の展開として、「荒木ゆい以外の声や、マルチ言語に対応した読み上げサービスの開発も進めている。スマートスピーカー向けのコンテンツ開発会社や、東京オリンピックで来日する外国人向けの多言語による音声案内などがターゲット」と語った。