自分の住む都市をよく知るものにとっては、Aitbnbの爆発的な人気によって巻き起こった短期賃貸ブームが、色々な影響を及ぼしていることに気がつくことはたやすい。正確には何が変化しているのか、どれほどの速さで手に負えなさが進んでいるのかを見てみよう。ニューヨークでは、それらの影響によって、Airbnbと市の規制当局との間に、何が本当に都市のためになることなのかを巡って、何年にもわたる係争が続いている。その賃貸業界への深い関与は、ただ火に油を注いでいる。
McGill Urban PlanningのDavid Wachsmuth教授が行った新しい調査は、極めて印象的なデータを示している。なお、分析作業は独立して行われたものの、研究自身はHotel Trades CouncilとAFL-CIOの委託によって行われた。両者はホテルビジネスの活性化に関わる団体である。よってそのことは気に留めておいて欲しい。
まず初めに、研究によれば、Airbnbによってニューヨーク市の長期賃貸価格は、年間1.4%もしくは384ドル引き上げられたと推定されている。この調査は、長期賃貸市場における物件不足と、短期賃貸市場における金銭的インセンティブの両者が、この価格上昇の原因であることを示唆している。
これらの結論は、UCLAによって開発された比較モデルから引き出された(比較に際しては、ニューヨーク固有の事情によって値上げに影響を及ぼしたであろう要素は取り除かれている)。
UCLAのモデルでは、諸要素を包括的に調整したあと、あるエリアのAirbnbの登録数が10%増加した場合には(賃料の増加を招く他の要素は取り除いてある)長期賃貸料は0.42%上昇することが示されている。この関係を私たちのデータに適用した結果、私たちはAirbnbがニューヨークの長期賃料を上昇させたという強力な証拠を発見した。
この調査はまた、Airbnbがニューヨークの長期住宅の利用可能な物件数に及ぼす、潜在的な影響も説明している。それによれば、7000から1万3500件の長期賃貸物件が市場から消えたということだ。残念ながら、その問題はすぐにでもより悪化しそうに見える。
さらに、空間クラスター分析によれば、4700におよぶ「プライベートルーム物件」(家の中で、家主が住んでいる部屋とは独立してプライバシーを確保できるとされている部屋、本来は家全体の貸し出しではない)が、実際には(家主が住んでいない貸し出し部屋だけの)「ゴーストホテル」に属するものであり、1つのアパートメントまたは建物に、そのような多くの部屋が集められている。これはおそらく、ニューヨークでも現在最も急成長している賃貸カテゴリーである。おそらくAirbnbを展開する法人組織が、規制当局からの精査を避けようとして行っている戦術の結果だと思われる。
Airbnbは、平均的な賃借人のイメージを改善するための努力を重ねている。すなわちその家の主が余った部屋を貸し出して、ちょっとした収入をあげようとしているというイメージだ。しかしAirbnbの大部分が、都市中で多くの物件を扱う業者による運営であることは、秘密でもなんでもない。
McGillはこの点を調査し、ニューヨーク市地区におけるAirbnbの収益の3分の2が、(オーナーが居住していない3室以上ある建物で30日以下の短期賃貸を行うことを禁じた)ニューヨーク市の規制に違反した物件から挙げられていることを特定している。これを調べるために、今回の調査では、独自のデータと、指定された建物タイプに対する市勢調査情報を組み合わせた。
その結果:
…私たちの推定では、住居全体が賃貸されている物件の85から89%が毎月違法状態である。これは、たとえすべてのプライベートルーム物件が、合法的なものであったとしても、ニューヨーク市における予約の43%から47%のものが違法だということを意味している。月々、7600から1万2700件の物件が不法な予約を受け付けているが、これはアクティブな物件の42%から46%を占めている。昨年の合計では、予約の45%が違法と思われる。そしてこうした違法予約が、全ホスト収入の66%(4億3500万ドル)を生み出した。
こうした違法な物件や「ゴーストホテル」が優勢であることを考えると、Airbnbのトップ10%のホストが2017年の全収益の48%を稼ぎ出していることは、あまり意外ではないだろう。ささやかな家主を助けるために、市の規制当局と如何に上手くやっているかを演出しているAirbnbには、そぐわないイメージだ。
もしこうした話題に興味を持った場合は、ここで完全なレポートを参照することができる。この調査に資金提供したのはホテル業界ではあるが、調査方法は概ね健全であり、実際にあなたが裏庭で起きているところを目撃した、定性的変化を支持する定量的変化に反論することは難しい。
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(翻訳:sako)