米国時間11月12日、Amazon(アマゾン)の倉庫で働いていたChristian Smalls(クリスチャン・スモールズ)氏は、新型コロナウイルスのパンデミックの間に、黒人とラテン系の労働者に個人用防護具(personal protective equipment、PPE)を提供しなかったとして同社を訴訟した。
この集団訴訟では、アマゾンがその倉庫労働者を正しく保護せず、ニューヨーク市と連邦および州の人権法に違反したと申し立てている。
「私はアマゾンの忠実な労働者であり、すべてをアマゾンに捧げてきたが、突然解雇され、ごみのように放り出された。なぜなら私が、アマゾンがその献身的な労働者たちを新型コロナウイルスから守るよう主張したからだ。私はただ、アマゾンが労働者に基本的な保護具を提供し、仕事場を消毒するよう求めただけだ」と声明でスモールズ氏は述べている。
今日私は、アマゾンのすべての従業員と、このパンデミックの間に世界中で保護されていないすべてのエッセンシャルワーカー(必要不可欠で休めないワーカー)に代わって、ニューヨーク州で集団訴訟を起こした。最初に述べたように、これはアマゾン対クリスチャン・スモールズの問題ではなく、アマゾン対人の問題である。
この訴訟についてアマゾンはコメントしなかったが、黒人の従業員や顧客そしてパートナーとは連帯していると述べている。
「アマゾンのミッションは地球上で最も顧客中心の企業になることであり、そしてこのミッションは、多様性とインクルージョンにおける私たちの活動の中心となっています」とアマゾンの広報担当者であるLisa Levandowski(リサ・レヴァンドフスキー)氏はTechCrunchに対して語っている。「多様なチームは、私たちが顧客のために構築する製品やサービスや職場の日常的な性質について、より大きく、より異なった考え方をするのに役立ちます。このことは、私たちの「14 Leadership Principles(リーダーシップの14の原則)」で強化されています。この原則は、チームメンバーが多様な視点を求め、学び、好奇心を持ち、常に他人の信頼を得ることを思い出させるものです」。
Jesse Jackson(ジェシー・ジャクソン)牧師もこの訴訟を支持し、自分はスモールズ氏とその他のアマゾンの倉庫労働者と連帯すると述べている。
「新型コロナは倉庫や刑務所などさまざまなレベルで、黒人とブラウンのコミュニティに特に大きな被害を与えた。それは、私たちのコミュニティを脅かす目に見えない敵だ。クリスのケースは、企業の貪欲さと無神経さが文字通り、コミュニティを語られることのない不要なリスクにさらすという、典型的な例だ」とジャクソン牧師は声明で述べている。
スモールズ氏は、スタテンアイランドのフルフィルメントセンターでストライキを組織し、3月にアマゾンを解雇された(CNBC記事)。その結果、ニューヨークの司法長官はアマゾンが国の労働者安全法とニューヨーク州の内部告発者保護法に違反して、スモールズ氏を解雇したのではないか調べている(npr記事)。
スモールズ氏の解雇はそのほかの倉庫労働者を行動に駆り立て、後に彼らは国際的な組織を作ってアマゾンの倉庫の内部を変えるよう要求した。主催者側は、労働者の報復行為がAmazon Workers International設立の推進要因の1つだと指摘している。一方、アマゾンの幹部らは、スモールズ氏の信用を失墜させ、彼を組織化運動の顔にすることについて議論したと報じられている(VICE記事)。
アマゾンのの1人はかつてTechCrunchに、スモールズ氏は抗議活動を組織化したために解雇したのではない、と述べた。代わりにアマゾンは、彼が「他の人びとの健康と安全を危うくし、雇用条件に違反した」から解雇したと話している。
「スモールズ氏は、ソーシャルディスタンスの指針に違反して何度も警告を受けた。彼はまた、検査で新型コロナウイルス感染者と確認された同僚と密に接触したことがわかり、14日間の有給での自宅待機を命じられた。有給での自宅待機は弊社が全世界の事業所で採用している措置だ。在宅の指示にも関わらず、彼は現場に来て、チームをさらに危険にさらした」と広報担当者は述べた。
カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Amazon、訴訟
画像クレジット:Genaro Molina/Los Angeles Times via Getty Images/Getty Images
[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)