Appleは環境を保護し「血塗られた鉱物」(“blood minerals” 採掘・流通過程に社会的・人権的問題を孕む鉱物。conflict mineralsとも)の利用を避けるために、再生可能材料だけを製品に用いるという崇高な目標を自ら掲げた。4月22日のアースデイに先立ち本日(米国時間19日)リリースされた、その2017年版環境対応報告書(Environmental Responsibility Report)の中で同社は、「採掘への依存を完全になくす日を目指して私たちは挑戦する」と語っている。しかしグリーンピースは、それでは不十分だと考えている。この非営利団体は、Appleのコミットメントを賞賛したが、警告も行った。Appleはもっと長持ちし、修理が容易なデバイスを作るべきだという忠告だ。
Vice Newsでのインタビューで、Appleの環境、方針、社会活動担当副社長のLisa Jacksonは、「どのようにやるかを完全に決定する前に、世界に向けて発表するという、私たちが滅多に行わないことをやっています。なので私たちは少し緊張していますが、この分野を担うものとして、テクノロジーが向かうべき方向だと信じていますから、とても重要なことだと考えています」。
リサイクル材料だけを使用することは、環境へのインパクトを減らすだけでなく、リチウムイオンバッテリーに必須のコバルトや紛争地域の鉱物の採掘に、子供たち使役するといった人権侵害を防ぐ効果がある。(Appleは最近、コンゴで採掘されたコバルトの購入を停止し、そのサプライチェーンを監査している)。
Apple製品に使用されている他の採掘された素材には、アルミニウム、銅、錫およびタングステンが含まれる。その環境対応報告書の中でAppleは以下のように述べている「手始めに、私たちはより多くのお客さまに、Apple Renewを通した古いデバイスのリサイクルをお願いします。そして私たちは新しい革新的なリサイクル技法を推進しています。例えば、回収された素材を新製品の中にうまく利用できるようにするための、解体ロボットラインなどに取り組んでいます。これは何年にも渡って、複数の複数のAppleのチーム、取引先、そして専門小売店の協力を要する野心的な目標です。しかし、私たちの取り組みは既に始まっています」。
もちろん、Appleがこれをやっている理由の一つは、iPhoneやその他の製品が「コンフリクトフリー」(様々な問題を含む材料を使用していないということ)を宣言できれば、大いなる宣伝となるからである。
「もっと多くのリサイクル材料を使えば、その問題(材料の利用)に対する別の回答を与えてくれるという点が、私たちにアピールした理由の1つではないと言うならば、嘘になります」とアメリカ合衆国環境保護庁の長官を2009年から2013年まで務めていたJacksonは、Vice Newsに語った。
これはAppleが、ますます社会的課題に基いて購入の決定を下し始めた消費者たちの信用を育む役に立つだろう。
しかし、多くのスマートフォンユーザーにとって、iPhoneも含むアップル製品に困らされている点は、その他のメーカーによるデバイスよりも修理が難しいことで有名だということだ。グリーンピースはこの点に関して同社に対し「100%リサイクル材料に移行することも重要だが、Appleやその他のIT企業にとって、その製品寿命の終わりまで修理がしやすく、そしてリサイクル可能であるように製品をデザインすることが重要である」と呼びかけている。
JacksonはVice Newsに対し、「多くのひとが、長持ちすることを知っているのでApple製品を購入しています」と語った。しかし、その記事でも指摘されているように、電気製品一般の寿命はほんの10年前に比べて短くなっているし、Apple自身がiPhoneやApple Watchの寿命として想定しているのはわずか3年であると言っている。
それでも、Appleの約束は正しい方向への1歩ではある。たとえそれがこの先どのような形で実を結ぶかを正確には描けていないにしても。1つ良い点は、その動きが競合他社にも追随するように圧力をかけるということだ。
「このコミットメントと、最近のアジアにおけるサプライチェーンの再生可能エネルギーへの移行の進展は、この分野で他の組織よりも遥かに進んだ地点にAppleを立たせました」と、グリーンピースはその声明の中で語っている。「Samsung、Huawei、そしてMicrosoftのような主要ITブランドたちは、もしこれ以上引き離されるというリスクを負いたくないのなら、Appleのリーダーシップに即座に追随する必要があります」。
そして更に「Appleのアナウンスは、SamsungがGalaxy Note 7を世界中からリコールし、改修しリサイクルするという発表を行ってから1ヶ月以内になされました。これはSamsungを始めとする業界全体に対して、より素晴らしい革新が可能であるという強いメッセージを送るものでした」と追記している。
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(翻訳:Sako)Cathe