Appleは遡ること2003年にローンチしたMetaioを買収していた。MetaioはVolkswagenのプロジェクトから派生した企業だ。Metaioのサイトには、新規のカスタマー受付は終了したと記され、Appleが正式に買収したという法的な文書も確認できた。この文書は、Metaioの株式がAppleに5月21と22日にかけて渡ったことを証明している。
TechCrunchがAppleに問い合わせた所、買収を認める時にいつも使われる文言が返信された。「Appleは小さいテクノロジー企業を随時買収しています。買収の目的や計画について公示することはありません」。
Metaioは今月の初めに予定されていたサンフランシスコでのユーザーカンファレンスを中止したり、会社のTwitterアカウントを閉鎖したりと不審な動きを見せていた。また彼らは数日前にも会社のサイトに、新しいプロダクトの購入や新規のユーザー登録の受付を終了すると掲載していた。Eメールでのサポートは6月30日に終了する予定だ。
TechCrunchのシニアライターであるJosh Constineは、昨日、状況を調査するためにMetaioのサンフランシスコオフィスを訪れた。しかし、緊張した面持ちの従業員は口を開くことを拒み、目の前でドアを閉められたそうだ。
Metaioのクライアントはサイトの閉鎖メッセージや同社からの説明がないことに「動揺している」という話をTechCrunchでは聞いていた。そして今日の発表があった。
Metaioは、シリコンバレーの一般的なベンチャーキャピタルから出資は受けていないが、Atlantic BridgeとWestcottから資金調達を行っていた。
Metaioは定評のある会社だ。彼らが製作したツールを活用した、とても印象的なプロジェクトがいくつもある。例えば、フェラーリの購入を検討している人に対して、拡張現実を活用した車の説明ツアーがある。(車自体もかっこいいが、更に良く見える)
こちらのプロジェクトでは、ベルリンの旅行者がベルリンの壁があった頃の様子を見ることができる。特定の場所にスマートフォンやタブレットをかざすことで、歴史的な映像記録を見ることができる。
Metaioは、世界30カ国に1000人以上のカスタマーと15万人のユーザーの大きな開発者コミュニティーを抱えている。全員がMetaioの今後に注目している。
今回の買収は、Appleの仮想現実と拡張現実への取り組みを加速することになるだろう。今年の初め、AppleはiPhoneと連動するVRヘッドセットの特許を取得した。昨日、9to5MacのMark Gurmanは、AppleはMapsアプリに拡張現実の機能を追加する予定だと伝えている。モバイル端末を街や建物にかざすと、どのような商店やビジネスがあるかや、レストランに向けるとメニューや今日のおすすめを確認できるというような機能だ。Metatioの技術は、これを実現するのに役立つだろう。
FacebookのMark Zuckerbergを始め、多くの人がモバイル端末の次にくるコンピューターが活用されるプラットフォームは仮想現実だと考えている。AppleはOS XとiOSで、デスクトップとモバイルプラットフォームでの大成功を収めることができた。Metaioの力添えで、次の波も捉えることができるかもしれない。
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