すばらしいハードウェアのアイデアがひらめいたとしよう。まず何をするか? ファームウェアのコードを考える、デザインを考える、そしてプロトタイプを作る。
プロトタイプを作るためには、まずその製品の脳となるプログラマブルなチップが必要だ。学習曲線が比較的なだらかで、コミュニティがフレンドリーなArduinoにしよう。しかし: そのハードウェアはWiFiが必要なのだ。
これまでは、WiFi内蔵の簡便なICチップがなくて、アイデアはそこで頓挫することが多かった。WiFi回路+ファームウェアの自作は、難しい。
これまでも、ArduinoでWiFiができなかったわけではない。面倒だっただけだ。主に二つの方法があるが、どちらも完全ではない:
- WiFiシールドを買う。“シールド”とは、Arduinoの機能拡張アタッチメントで、音声の再生/録音、イーサネット、WiFiなどがある。欠点は、WiFiシールドはArduino本体の2〜3倍と高く、でかくて、必要なときに手に入らないこともあった。
- WiFiを搭載したArduino“クローン”を買う。クローンは、サードパーティが作った非公式のArduinoだ。問題は: トラブルに遭遇するとそのクローンボードに詳しい人をコミュニティに探さなければならない。
先週末のMaker Faireで同社は、Arduino Yúnを発表した(Yúnは中国語で雲(cloud, クラウド)の意味。珍しいúの代わりにuと書く人が多いだろう)。最初からWiFi機能を搭載した初めてのオフィシャルのArduinoだ。
Yúnのファームウェアは、Arduinoの基本部分はArduinoだが、WiFiの通信機能はLinuxが担当する。HTTPの送受信機能もある。また、USBケーブルを使わずにWiFiでプログラムをロードできる。
要するに、DIYハードウェア基板の代表格であるArduinoが、“インターネット接続あり”、になったのだ。Google Calendarが来客を教えてくれたから、その人が家に着く30分前にコーヒーを淹れておこう、なんてことが外出先のスマホからできる。要するに、多様な“物のインターネット”のDIYがとってもやりやすくなる。目覚まし時計のスヌーズボタンを押したら、自動的にPayPalの自分の口座からお金が慈善団体に寄付される、なんてのはどう?
今週はWiFi機能のあるArduino互換ボードのプロジェクトがKickstarterで30万ドルの資金を集めた(目標額はわずか1万ドルだった)。まだ締め切りまで2週間ある。つまり、こんな製品への関心や需要はとても多いのだ。
Yúnは6月末に発売される。お値段は69ドル。素のArduinoの約倍だが、それでも安い。しかもシールドを買って使うより、ずっとコンパクトだ。
〔訳注: 原文コメントには、MiniSocket iWiFi(http://www.connectone.com/?page_id=217)や、USBのWiFiアダプタが使えるRaspberryPiの方が使いやすい、という説が載っています。〕
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))