ここにも、タブレットの急速な普及の兆候が見られる。イギリスのBBCがインターネットから番組をオンデマンドで提供しているサービスiPlayerでは先月、初めてタブレットがモバイルを抜いた。番組リクエスト数はタブレット4100万に対して、モバイルからが4000万だった。PCなどすべてのデバイスを合わせると3月の番組リクエスト数は2億7200万だった(番組本体のみ、紹介編などを除く)。
3月のリクエスト総数の中でタブレットとモバイルはどちらも約15%を占める。下のグラフを見ると、長期的な傾向としてタブレットとモバイルは、これまでの主なiPlayerアクセスデバイスであるコンピュータ(PC)のシェアを蚕食していることが分かる。2012年3月ではPCのシェアは59%、今年の3月では47%だ。同じ時期にタブレットは6%から15%に、モバイルは9%から15%に伸びている。
これはBBCだけの特異な現象ではなく、業界全体としてもPCの売上は落ち込み、タブレットやスマートフォンのようなネット接続型のスマートデバイスが売れている。Gartnerの予測では今年の全世界のタブレットの売上台数はほぼ2億で、前年比70%の伸びとなる(IDCの予測では78.4%増)。これに対しPCの売れ行きは今年7.3%減少する。今回のBBCの数字と似た例としては、先月のAdobe Digital Indexの場合、やはりタブレットからのアクセスが初めてスマートフォンを抜いている。
BBCのオンデマンドTVは、今放送中のテレビ番組と放送後の過去番組を見られるサービスだが、デバイスの形状やサイズからして、いかにもタブレット向きのアプリだ。ポータブルでありながら、画面サイズと解像度は不満感を与えない。BBCのiPlayerのデータでも、タブレットは圧倒的にラジオよりはテレビ番組用に使われている。
上記のデータはすべてiPlayer全体だが、テレビコンテンツに限ると、タブレットは3月の番組リクエストの19%を占め、モバイルは17%だった。一方ラジオだけでは、タブレット4%に対してモバイル10%だ。ラジオではPCのシェアが68%と高く、iPlayerが主に仕事などのバックグラウンドとして利用されていることがうかがわれる。PCの画面は、お仕事用に使われているのだろう。
iPlayerの利用のされ方でもうひとつおもしろいのは、テレビは主に(3月ではリクエストの88%)過去番組を見るために使われ、今放送中の通常番組の視聴は少ない。これに対しラジオでは、リクエストの83%でその日の通常番組が聴かれている。
iPlayerで今放送中の通常番組を見るためには視聴料を払わなければならない(ラジオは無料)。しかしその通常番組の視聴料収入はこのところ一貫して減少傾向にある。また通常のテレビ視聴者に比べてiPlayerの視聴者の年齢は下の方に偏っていて、2012Q4ではiPlayerユーザの76%が55歳以下だった。昨年8月にはiPlayerの通常番組視聴者がテレビリクエスト全体の32%(平常時の倍以上)に急増したが、それはおそらくオリンピックのためだ。
[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))