「パブリッシャーの多くは、バナー広告を使って閲覧者をサイトに誘導しようとしています。しかしそうした方法はソーシャルメディアの利点を十分に活用したものとは言えません」と話したのはBuzzFeedのCEOであるJonah Perettiだ。「ソーシャルメディアには、情報へのリンクではなくコンテンツそのものを流すべきなのです」とのこと。
Perettiが、SXSWに集まった大聴衆の前で行った公演だ。BuzzFeedがいかにして全世界規模に広がり、月間のユニークビューが2億を超え、そして900名以上の従業員を抱えるまでに成長したかを話していた。
話の中心となったのはBuzzFeedの情報共有戦略についてだった。
Perettiは、ソーシャルネットワーク上にリンクではなく、コンテンツ自体を流すことの重要性をデータで示した。たとえばTwitter経由で獲得するリファラルのトラフィック(月間)は1250万で、Pinterestからは6000万、そしてFacebookからは3億4900万を獲得しているのだそうだ。
しかし、Perettiの言葉を借りるなら、リンク情報を流して集客を期待するのは「すでに時代遅れ」のものであるとのこと。「リファラルによるトラフィックは、コンテンツ閲覧者に比べると非常に小さな数字となっています」と言っている。確かに、インプレッション数を見るとTwitter上で8億4700万、Pinterestで60億、そしてさらにFacebookでは113億という数字になっているのだ。
「コンテンツを外部に流すことにより、当然ながらより多くの人にリーチするようになるわけです」とPerettiは述べる。但し、それが可能になっているのは、BuzzFeedの収益モデルによるところも大きい。しかし確かに「BuzzFeed型」を目指すビジネスが増えているようだ。
BuzzFeedは通常記事と同じ体裁を採った「ネイティブ広告」を収益源としている。であるからこそ、その記事を配信することがそのまま利益に繋がるわけだ。自らのサイトに集客し、ページビューを稼ぐ必要もないわけだ。人々の好みの情報を探し出し、そしてそれに基づいたスポンサード・コンテンツを作り出す。そしてそれをできるだけ多くの人に見てもらえば良いわけだ。
ネイティブ広告による収益モデルを確立すれば、閲覧者のクリック数をあげるような努力も無用となる。ソーシャルネットワークを活用して読者数を増やし、そして面白いコンテンツを作ることが求められるようになるわけだ。
そのようなモデルで重要となってくるのが、コンテンツの拡散具合となる。そこでBuzzFeedが注目しているのは、拡散(シェア)時のモチベーションだ。
コンテンツをシェアする際に付される文言を、BuzzFeedでは「Share Statement」(試訳:共有見出し)と呼んでいるそうだ。記事などをシェアする際に、自分で付加する文章のことだ。Peretti曰く、「Share Statement」は記事のもともとの見出しなどよりも重視すべきものだとのこと。この「Share Statement」の分析により、利用者が「なぜ」(なにを、ではなく)コンテンツをシェアしたのかを理解することができるからだ。
この「Share Statement」の分析により、BuzzFeedでは利用者が求めるコンテンツを把握しているのだそうだ。媒体を売っているのではなく、日々向上している「コンテンツ製作能力」をサービスとして提供するのが、BuzzFeedの本質であるとのことだった。
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(翻訳:Maeda, H)