Da Vinci 1.0 AiOは3Dプリンターの未来を体現―レーザースキャナー搭載の3Dコピーマシン

XYZPrinting da Vinci 1.0 AiOは3Dプリント・マニアのための3Dプリンターだ。AiOの筐体にはABS 3Dプリント・システムとレーザー3Dスキャナーが一体化して組み込まれている。底にはターンテーブルが設けられており、オブジェクトを乗せるとゆっくり回転し、レーザーが形状データを読み取る。そのデータにもとづいてオブジェクトが3D出力される。文字通り3Dコピー・マシンだ。オブジェク・イン、オブジェクト・アウトのシステムというわけだ。スタートレックのファンなら「レプリケーターだ!」と叫ぶだろう―たしかにそれに近いものではある。

われわれはbitを自由に操る時代から原子を自由に操る時代に足を踏み入れつつある。AiOは3Dとしては世界最良というわけではないだろうが、3Dコピーを家庭やオフィスで可能にする。この意味は立ち止まって少し深く考えてみる必要がある。ほんの数年前まで、そんなことは不可能だ、SFの世界の話だと思われていた。それがあっさり実現してしまったことも驚きだが、最大の驚きは価格だ。AiOはわずか799ドルだ。799ドルで、最大7.8(19.8cm)×7.8(19.8cm) x7.5(19cm)までのオブジェクトを3Dスキャナーでスキャンし、ABS素材で出力できるのだ。高性能のカラーレーザープリンタでもそのぐらいする。

実際の作動はどうか? AiOはすべての面で満足な作動をみせる。出力は驚くほど滑らかで解像度も高い。私がテストした3D出力(下の写真)の品質は十分合格だ。Marioのスターツリーは任天堂ストアから取り寄せたかと見まがうばかりだ。これらの出力物には一切後処理を加えていない。音も静かだ。聞こえるのはノズルを移動させるモーターとファンの作動音だけだ。

ただしスキャンニングは事前の計画が必要だ。光を反射するオブジェクトは避けた方がよい。またつや消しの表面でも一部のディテールは失われる。陶器の象と石膏のガーゴイルを試してみたところ、ガーゴイルはうまくいったが象はダメだった。しかしライオンの小像はすばらしい出来栄えだった(頭部に若干の欠けが発生)。無

というわけでこれは驚くべきマシンだ。しかしいくつか注意点もある。まずAiOは非常に大きい。おそらくMakerbotの2倍はあるだろう。たいていの家庭用レーザープリンターよりもかさばる。またいくつか重要な限界がある。

AiOが正常に出力している間はまるで魔法を見ているようだ。しかしひとたび何かがうまくいかなくなると大変だ。プラスティックがノズルの周辺で固まり、小さいピンセットで忍耐強く剥がさねばならない。このマシンは一体型ですべては筐体の中にきちんと収まっている。そのためプリントヘッドに手を届かせるのが難しい。AiOではオールインワン型の3Dプリンターの良い点と悪い点がともに極端な形で出る。そしてHPその他のインクジェットプリンター・メーカーがとっくに知っていることだが、プリンターはインクで利益を出すビジネスだ。

AiOは1.75mmのABSフィラメントを収めた専用カートリッジを使う。カートリッジにはEEPROMが仕込んであって、ユーザーが自由にリフィルできないようになっている。しかし ハックは可能だ。もっとも600gのカートリッジがわずか30ドルだが、それでも自分でフィラメントを選びたいホビイストは多いだろう。

しかし普段は専用カートリッジを使うとしても、XYZPrintingがこのカートリッジの生産を止めたり、あるいは倒産したりしたときにはハックする方法を知っていないと困ったことになる。しばらく待てば、もう少し精度の高いスキャナーとオープンなフィラメントを使える3Dが登場するだろう。しかしそうした新型が799ドルで手に入るようになるまでにはしばらくかかるのではないか?

一言でまとめれば、AiOは手の届く価格で驚くべき機能を備えた製品だ。3Dマニアならなんとしても試してみたくなるはずだ。

〔原文にはスライドショーで写真多数あり〕

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+