e-Sportsの魅力はエンターテイメントにある

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編集部記Daniel LiはCrunch Networkのコントリビューターである。Daniel Li はMadrona Venture Groupで投資を行っている。

e-Sports業界は大きくなっている。かなり大きい。CNNよりTwitchを見る人の方が多いのだ。Riot、Valve、Activision-Blizzard、EAもe-Sportsの取り組みを行っている。e-Sports最大のトーナメントは何千万人の視聴者を惹き付け、League of LegendsやDota 2といったゲームの最強プレーヤーには、何千万ドルに及ぶ賞金プールが用意されている。

しかし、スーパースターのプレーヤー有名トーナメント、そして一般的なスポーツとの比較にしか目を向けていないのなら、e-Sportsの最も興味深い要素を見逃しているかもしれない。e-Sportsとストリーミングの分野を詳しく見てみると、ゲームが上手いことよりエンターテイメント性がある方が利益を得られることが分かる。

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参照: Madrona Venture Group

これまでe-Sportsのプロ選手の収入の大部分は、トーナメントの優勝賞金が占めていた。ゴルフやテニスといったスポーツのモデルを継承し、プレーヤーは世界の主要なトーナメントに参加して、賞金のために競っていた。

例えば、e-Sportsで400番目に多い賞金を獲得している韓国人のLeague of LegendsのプレーヤーSpiritの場合、2013年から13のトーナメントに参加し、8万ドルを獲得した。2014年のLeague of Legendsのワールド・チャンピオンシップのトップ3に入った時の賞金も含んでいる。

しかし、近年、ライブストリーミングのサービスが普及したことにより、サブスクリプション、寄付、クラウドファンディングといった新たな収入モデルが出てきた。これらの新しいモデルは、プレーヤーに賞金を獲得するのではなく、エンターテイメント性や視聴者のエンゲージメントを獲得することに注力することを促すものだ。

例えば、Twitchで400番目に人気のストリーマーはDestinyだ。彼は、2011年から参加しているトーナメントの賞金では2444ドルしか獲得していないが、Twitchで年間10万ドル以上の収入を得ている。そのほとんどはサブスクリプション(月に5000ドル)と寄付(月1500ドル)が占める。下記のグラフは彼の月々の収入を示すもので、The Daily Dotのインタビューで彼が共有したものだ。

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参照: The Daily Dot、Destiny

e-Sportsのストリーマーにとってこのモデルが機能するのは、プロゲーマーになって、ゲーム動画の配信を始めるコストがほぼゼロに近く、オーディエンスがそんなに多くなくとも、ある程度の収入を得ることができるからだ。

ストリーマーは、何年もの練習やコーチングを必要としたり、配信するためのインフラを整えたりするのに何千ドルのコストを払う必要はない。誰でも、いつでもストリーミングを無料で始めることができる。KittyPlaysGamesの記事では、法律を専攻している学生がプロのストリーマーになり、2500人のサブスクリプション(これは月々サブスクリプション収入だけで最低6250ドルになる)で、50人以上のファンが1000ドルの寄付をその学生に贈った話がある。

会社の法務で仕事をするなら、収入は少し下がることになる
— KittyPlaysGames

サブスクリプションの収入とストリーマーが直接受け取る寄付のおかげで、ストリーマーは広告収入をあてにすることはなく、比較的少数でもエンゲージメントの高いオーディエンスを獲得するだけで、自分たちの生活を賄うのに十分な収入を確保することができる。

例えば前述のDestinyは、サブスクリプションと寄付で月々6500ドルの収入がある。Destinyの平均の同時視聴ユーザーは2000人から2500人だ。KittyPlaysGamesも通常の同時視聴ユーザーは2000人から5000人だが「会社の法務で仕事をするなら、収入は少し下がることになる」と話している。

e-Sportsのこの特徴的な始めやすさとチャンスには多くの可能性があり、より多くの企業がe-Sportsの競技ではなく、エンターテイメント性に着目している。Jonathan PanのESportsマーケットエコシステム・マップを参照すると良いだろう。

まだe-Sportsは始まったばかりで、企業がこのカテゴリーを成長させ、確立していくチャンスは多くある。Madronaが注目しているアイディアをいくつか挙げたい。

次のTwitch

Twitchはゲームのコミュニティーにとって素晴らしいプラットフォームだ。しかし、他の軸でもTwitchが勝てるかどうかは分からない。YouTubeで最も視聴される動画カテゴリーは以下の通りだ。これらのカテゴリーをユーザーはライブで視聴するようになるだろうか?その場合、ユーザーはそのコンテンツ制作者とどのように関わるようになるだろうか?

Source: ESPN and FiveThirtyEight

参照: ESPNとFiveThirtyEight

Twitchで急成長するメディア

ESPNはケーブルテレビで始まり、BuzzFeedはFacebookで始まり、VICEはYouTubeで始まった。これらの企業は、そのチャネルを把握して急成長し、他のチャネルに進出していった。Twitchや他のストリーミングプラットフォームで急成長を遂げるのはどのようなメディアだろうか?

ストリーマー用のツール

ストリーマーは毎週50時間以上、動画配信をしている。フルタイムの仕事だ。ストリーマーはオーディエンスのエンゲージメントを獲得してマネタイズするために、独創的な方法を見つける必要がある。Madronaが最近投資したMatcherinoはこのカテゴリーに入る。彼らは、ストリーマーが配信していない時でもオーディエンスのエンゲージを促す施策を提供し、またファンがお気にい入りのストリーマーを支援するためにクラウドファンディングの仕組みも活用できるようにしている。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

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