EUのデジタルシングルマーケット(DSM)を去る。これはUKのスタートアップにとって何を意味するのだろう。実際のところ、誰にもわからない。だからこそ、来年のEU離脱にともなってDSMを去ることがUKのテックスタートアップにどのような影響を及ぼすのか、UKの3つのベンチャーキャピタルが主導して調査を行なっている。
3つのベンチャーキャピタルとは、LocalGlobe、Index Ventures、Atomicoだ。あなたもこちらで短い調査に参加できる。
英国のテリザ・メイ首相は以前、英国が来年正式にEUを離脱するときDSMを去ることになるだろうと発表した。しかし、情報筋がTechCrunchに明らかにしたところによると、これは諮問にかけられていないのだという。
2015年5月に発表され、当時の英国政府に強力に支えられたこのDSMの狙いは、規則の壁をなくし、28カ国の‘デジタル’マーケットを1つにする、というものだった。予想では、これは年間4150億ユーロの経済効果があり、何百、何千もの雇用を生み出せる、とされた。
DSMは欧州委員会の優先すべき10の施策の1つで、下記にある3つの柱で構成されている。
1.デジタル商品・サービスへのアクセスを改善する
デジタル・シングル・マーケット戦略では、消費者や事業者が欧州全体でオンライン商品やオンラインサービスにスムースにアクセスできるよう模索する。例えば、eコマースの国境をなくし、消費者を保護しながらオンラインコンテンツへのアクセスを可能にする。
2.デジタルネットワークやサービスが成長する環境
デジタル・シングル・マーケットは、正しい規則のもとでハイスピードかつ安全、そして信頼できるインフラを整備し、これによりデジタルネットワークやサービスの環境を整えることを目的とする。懸念事項としては、サイバーセキュリティ、データ保護/eプライバシー、公正さ、オンラインプラットフォームの透明性が挙げられる。
3.成長の原動力としてデジタル
デジタル・シングル・マーケット戦略は欧州のデジタル経済の成長の可能性を最大化することを目的とする。ゆえに、今日のデジタル社会では必須となっているデジタルスキルを磨くなどして、全ての欧州市民がこの恩恵にあずかる。
ところで、Tech For UKは、英国のEU脱退を問う‘市民の投票’をサポートした、英国テック企業のリーダー100人超で構成される新たなグループだ。現在、新たなサポーターを募集している。
このグループは、Lastminute.comの共同設立者として知られるMartha Lane-Fox、P2Pファイナス先駆けのZopawp設立に関わった1人Giles Andrews、Tide銀行のCEO、George Bevisらテック業界で名を馳せるリーダーたちをメンバーとして有する。また、Episode 1 VenturesのパートナーであるSimon Murdochといった主要なベンチャーキャピタルやプライベートエクイティ投資家も含まれる。
Tech For UKは、欧州投資基金のような欧州LPファンドへのアクセスを失うこと、UKのテック企業を支えてきた優秀な人材がUKの入国管理の不透明さを嫌って流出すること、DSMへのアクセスを失うことはUKのテック産業にとって不利に働く、と主張している。
(宣言:私もTech For UKを支持している)
Image Credits: altamira83/iStock
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(翻訳:Mizoguchi)