会計支援の「クラウド会計ソフト freee」などを提供するfreeeは4月19日、ベンチャーキャピタルや投資家向けの新機能「freee VCアドバイザーアカウント」(以下、VCアドバイザーアカウント)の提供を開始すると発表した。
VCアドバイザーアカウントは、企業と投資家が財務データや経営情報をクラウドで共有・管理することを可能にする新機能。「クラウド会計ソフト freee」のユーザーであれば誰でもVCアドバイザーアカウントを利用でき、通常料金のほかに追加料金が発生することもない。
言うまでもなく、投資家にとって出資先の資金状況を把握することは重要である。例えば、毎月いくらのお金が消費されているかを表すバーンレートは、そのお金の出どころである彼らにとって非常に気になる指標の1つだろう。しかし、銀行やクレジットカード会社からデータを入手し、レポートにまとめ、報告するという一連の作業は投資先の企業に大きな負担を与える。
その一方、VCアドバイザーアカウントを利用すれば、会計データ以外にも取引データなどの細かな情報を自動的に投資家と共有することができる。企業は本業にフォーカスできるし、投資家はリアルタイムに更新されるデータをもとにしたアドバイスに集中できるというわけだ。
ちなみに、freeeが提供する既存のクラウド会計ソフトでもデータを共有すること自体は可能だった。しかし、VCアドバイザーアカウントでは複数の出資先の管理がより簡単にできるようになっているという。
VCアドバイザーアカウントの開発背景について、プロダクト担当者の木本俊光氏はこう語る:
「以前から、当社では銀行など金融機関向けの専用カウントを運用していました。それをVC向けにも適用できるのではないかと考えたことがきっかけの1つです。また、ベンチャーキャピタリストの方々との話のなかで、出資先から受ける資金状況の報告をいまだにスプレットシートで管理していると聞いたこともありました。VCアドバイザーアカウントを利用することで、確認や報告作業などにコミュニケーションコストをかけるのではなく、もっと本質的なところに時間を使えるようになれば良いと思います」。
同社は現在、会社設立や開業を支援する「会社設立 freee」や「開業 freee」、そして会計支援の「クラウド会計ソフト freee」などを提供している。また、2017年3月より内部統制に対応した「エンタープライズプラン」をリリースするなど、企業のあらゆるフェーズに対応できる体制を整えてきた。2016年12月には33.5億円の大型調達も実施している。
freeeは今後、これらのソリューションをさらに使い易くするためのサービス開発にフォーカスしていくようだ。今回リリースしたVCアドバイザーアカウントも、その策の1つだと言えるだろう。