米国時間2月17日、Google(グーグル)はパンデミック下で利用とさらなる開発が加速するオンライン教育ツールのGoogle Classroom、Google Meet、および次世代のG Suite for Educationを、Google Workspace for Educationとして再ブランドすることを発表した。同社の教育関連製品全体で50以上の新機能が追加され、生徒だけでなく、教育者と管理者のニーズを満たすことに焦点が当てられている。
Googleが最初にGoogle Classroomを公開した時、Learning Management System(LMS)を作る計画はなかった、という。しかし新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの中でGoogleは、多くの教育者がClassroomをオンライン学習の「ハブ」として使い始めたことを知った。現在このサービスは1億5000万人以上の学生、教員、学校管理者が使用しており、2020年の4000万人から急増している。
パンデミックに起因する利用拡大とユーザーフィードバックの結果、Googleは2021年に数多くの新機能をClassroomに導入する予定だ(公開時期はさまざま)。
Classroomをオンライン学習のハブとして使っている人たちのニーズに応えるべく、Classroom「アドオン」のための新しいマーケットプレイスは、教員が気に入った教育ツールやコンテンツを選び、生徒に直接割り当てることが可能でログインし直す必要はない。管理者はこれらのアドオンをドメイン内の他の教員のためにインストールすることもできる。
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また2021年中に管理者は、Student Information Systems(SIS、生徒情報システム)名簿の同期を使って事前にクラスの割当が可能になり、一部のSISユーザーでは、Classroomの成績を直接SISにエクスポートできるようになる。Classroom監視ログ(生徒の退室や到達などの状態を見る)やClassroomアクティビティーログ(生徒のクラスとのやり取りの確認)など新たなログ機能も追加される。
生徒たちが実際に学校に来ていれば、教員は遅刻している生徒を容易に見つけることができる。新たなClassroomツールは同じことをバーチャル学習でもできることを目指している。新しいStudent Engagement Tracking機能により、教員はその日にどの生徒が課題を提出したか、投稿にコメントしたかなど生徒がどのようにクラスとやりとりしているかを把握することができる。
インターネット環境が整っていない、あるいはまったく使えない生徒が在宅学習するためのツールもある。新しいClassroom Androidアプリを使えば、生徒は課題に取り組んだり、添付ファイルを開いたり、Goolgeドキュメントに書き込んだりすることがオフラインでも可能になる。作業内容は接続が復活すれば同期される。また生徒が写真を撮って課題をアップロードするときには、複数の写真を1つの文書にまとめたり、画像のトリミングや回転、ライティングの調整などができる。
Classroomはリッチテキスト形式もサポートする。太字、斜体、下線、箇条書きなどがウェブ、iOS、Androidすべてで利用できるようになる。
盗用を検出する独自性レポートが15言語で近く使えるようになる。英語、スペイン語、ポルトガル語、ノルウェー語、スウェーデン語、フランス語、イタリア語、インドネシア語、日本語、フィンランド語、ドイツ語、韓国語、デンマーク語、マレーシア語、ヒンディー語の各言語だ。
そしてGoogle自身の無料入門コンピュータサイエンスカリキュラム「CS First」が今すぐClassroomで利用可能だ。
Classroomだけでなく、Google Meetも教育者のニーズを念頭にアップデートされている。
数週間のうちに提供される必須機能の1つ、「mute all(全員ミュート)」ボタンは教室の支配を教員の手に取り戻す。4月からは生徒がいつ自分をミュート解除できるかも制御できるようになる。
他にも、誰が会議に参加できるか、チャットやスマホからの画面共有ができるかなどを確認、コントロールできる会議制御機能は2021年中に公開される。
4月から誰がビデオ通話に参加できるかのポリシーも管理者が設定できるようになり、離れた生徒同士の通信、教員のための専門能力開発、クラスへの外部講演者の招待などに関するルールを決められる。生徒はClassroomで作られたミーティングには教員が来るまで参加できない。一方、教員は教員間でクラス管理の負荷を分散できるように複数のホストを設定できる。
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Google Meetには生徒のエンゲージメントとインクルージョンに関する機能も追加される。生徒はエモジのスキントーンを選んで自分を表現したりクラス内でエモジで反応することができるようになる。使えるエモジは教員が制御できる。
そして、GoogleのClassroom、Meet、Gmail、カレンダー、ドライブ、ドキュメント、スプレッドシート、スライドなどからなるこの「G Suite for Education」は、「Google Workspace for Education」に再ブランドされる。現在世界で1億7000万人の生徒と教員が使っている各ツールそのものは変わらない。ただし、プランはさまざまなニーズに応えるべく2種類から4種類に増える。
無料バージョンは、Google Workspace for Education Fundamentalsと名前を変え、内容はほぼ変わらない。有料バージョンはGoogle Workspace for Education Standard、Google Workspace for Education Plus、およびTeaching and Learning Upgradeの3種類になり、最後のプランはFundamentalsまたはStandardに、Google Meetのビデオ通話や独自性レポートなどのClassroomツールを追加できる。
Standardは、FundamentalsにSecurity Centerによるセキュリティ強化、監視ログ、高度なモバイル管理などが加わる。Plusは他の3バージョンの全機能に加えて、高度なセキュリティと分析、教育・学習機能などが入る。
FundamentalsとPlusは本日より提供され、他の2つは2021年4月14日に公開予定。すでにG Suite for Enterprise for Educationを利用しているユーザーはEducation Plusにアップグレードされる。
一連の変更にともない、ストレージモデルも新しいプールドストレージオプションへになり、複数の教育機関にわたるストレージ資源の分配がやりやすくなる。新たなモデルは学校や大学にベースラインとして100TBのプールドストレージを提供し、全ユーザーで共有される。新たなストレージポリシーは2022年から新規ユーザーに適用され、既存ユーザーのGoogle Workspace for Educationでは2022年7月から有効になる。Googleは改訂されたモデルの影響を受ける教育機関は1%以下だろうと述べている。ベースライン(100TB)は1億文書分、あるいはプレゼンテーション800万件分、あるいは動画40万時間分に相当するサイズだという。
Googleは今後数週間のうちにGoogle Workspace for Education製品ラインのアップデートをいくつか計画している。Google Formsのドラフト保存(Fundamentals)、Google Meetのミーティング文字起こし(Teaching and Learning Upgrade)などだ。
ソフトウェア製品のアップデート以外にもGoogleは、40以上の新しいChromebooks(クロムブック)を発売する。LTE通信機能内蔵の常時接続モデルもある。Chromeのスクリーンリーダー、ChromeVoxもアップデートされ、新しいチュートリアル、ChromeVoxの検索、テキストの原語に基づいてスクリーンリーダーの声を自動的に変えるボイススイッチングなどだ。
子供のオンライン学習にさまざまな方法で参加している親は、子供のGoogle Workspace for Eductaionアカウントを、GoogleのペアレンタルコントロールソフトウェアであるFamily Linkに子供の個人アカウントとして追加できる。そうすることで、子供は学校のアプリやアカウントにログインできるが、親は子供が学習に専念するように他のアプリやデバイスの使用時間を制限できる。
【Japan編集部】SHARPもChromebookのパートナーになった。NECに続き同社からも今後、Chromebookが発売される。
カテゴリー:EdTech
タグ:Google、Chromebook、Google Workspace for Education
画像クレジット:Thomas Park/Unsplash
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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook )