Googleの意図せざる人種差別的広告は、恐ろしい心理的影響を与えるだろう

Googleによると、Latanyaという名前の女性は、Jillという女性よりも牢屋に入る確率がずっと高いらしい。最新の研究によって、アフリカ系アメリカ人によくある名前に結び付けられた広告は、犯罪情報サービスのものである可能性がはるかに高いことがわかった。

「主として黒人の赤ん坊につけられる、DeShawn、Darnell、Jermaine」などの名前は、名前検索の81~86%で犯罪を連想させる広告を発生させる」と、ハーバード大学のLatanya Sweeneyがオープンアクセス論文誌のArXivに書いた。これらの広告の意図しない影響は、数多くの黒人市民と、彼らの名前が不幸にも人種差別的広告と一緒に表示されるのを見た雇用者たちに多大な心理的影響を与えるだろう。

下の画面は、同研究者が自身の名前をGoogle検索した際に表示された「Latanya Farrell、逮捕?」と書かれた広告だ。

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報道では多くの見出しが、Google検索そのものが人種差別的であることを示唆している。しかしそれは〈実際には〉正しくない。Googleは単に、クリックされる可能性の高い広告を自動的に配信しているにすぎない。この研究は、「果たしてGoogleの広告技術は社会の人種差別を露見させるのか、また、どうすれば広告および検索の技術が人種の公平性をもたらせるのかという問題」を提起するものである、とSweeneyは書いている

しかし、人種的劣性の概念が少数民族の教育および職業実績に壊滅的影響をもたらしていることはよく知られている。自分たちの人種の社会における苦闘を思い知らされた黒人学生たちの知能検査や共通テストの成績は著しく低い。 いわゆる「ステレオタイプ・スレット」[固定観念に対する恐怖]は、米国の大学において特定の人種が少ない理由を最もよく説明する理論だ。

黒人的響きを持つ名前も履歴書で苦労させられる。ある研究によると、求人に対して黒人に多い名前で応募すると、連絡をもらえる確率が50%低くなるという。採用担当者が求職者をGoogle検索した時に、黒人候補者の名前の横には犯罪がらみの広告が並び、白人候補者にはそうでなかった場面を想像してほしい。平均的にみて、黒人男性および女性が脱落していく様子が容易に見て取れる。

統計的に見て、例えばDarnellという名前は、”Todd” よりも犯罪に結びつけられる率が高い。しかし、社会がこの事実に直面した時、このデータはわれわれの中に潜む固定観念を呼び起こす。換言すれば、情報が多いことは必ずしも良いとは限らない。

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(翻訳:Nob Takahashi)

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TechCrunch Japan

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