iOSおよびAndroidを完全にエミュレートする「Virtual」、など ― 先週のUS注目記事

この1週間、米国版TechCrunchに掲載されたものの、日本語版で紹介できなかった記事をいくつか振り返ってみたい。

面白そうでも失敗することのあるKickstarterキャンペーン

ちょっと気になったものとして、失敗しそうなKickstarterキャンペーンから見てみたい。「Phonotonic Is A Nifty Music Device That Turns Movement Into Music」という記事で紹介されたプロダクト自体はなかなか面白そうなものだった。

ビデオを載せておこう。

ビデオを見ておわかりのように、身体を動かすことで音楽を生み出すデバイスだ。実直そうな青年が行うデモはかなり面白そうに見える。

ただこちらのキャンペーン、残り日数も少なくなる中、目標額には5万ドル以上不足している。早期割引のオプションはすべて完了となっていることから、プロジェクトに興味を持った人はそれなりにいたはずだ。目標調達額が大きすぎたのかもしれない。

もうひとつ、面白そうなのだキャンペーンがどうなるかわからないものがあった。「Kudoso Is A Router That Rewards Your Kids With Facebook Time For Studying, Doing Chores」で紹介されているものだ。

ペアレンタルコントロールを行うことができるルーターなのだが、子供たちは「ネット利用時間」を「稼ぐ」ことができるようになっている。すなわち犬の散歩をするだとかバイオリンの練習をするとか、あるいはKhan Academyで特定のレッスンを受講した場合などに、たとえばNetflixを閲覧する時間を稼ぎだすことができるわけだ。

使いこなすことができれば、かなり有効なペアレンタルコントロールとして機能しそうには思える。但し、導入する手間がかなり大きそうにも見える。本稿執筆時点、17日を残して目標5万ドルに対して2万ドル程度の調達状況となっている。

iOSおよびAndroidをネイティブ品質でエミュレートする「Virtual」

Virtual Says It Can Emulate iOS Or Android Devices In The Cloud」で紹介する「Virtual」は、iOSおよびAndroidのほぼすべてのデバイスをエミュレートする標榜しているサービスだ。

現在のところはまだ一般公開とはなっておらず、サイトにアクセスしても招待してもらうための登録画面が表示されるだけだ。

ちなみに実はこれもKickstarterつながりのようだ。もともとKickstarterキャンペーンでの資金調達を考えたらしいのだが、訴訟などに巻き込まれるリスクを考慮して、キャンペーンを取り下げたのだそうだ。「エミュレーション」を超えた「バーチャライズ」(仮想化)を提供すると主張している。

増大するアプリケーションがもたらすものは?

上に述べたような完璧なエミュレート機能などはまだ存在しないが、開発者たちは多くの努力をはらってさまざまなアプリケーションをリリースし続けている。Google PlayおよびiTunes App Storeの双方に100万本位上のソフトウェアが存在し、これはますます増加しつつある。

しかし、最近のニールセンのレポートによれば、利用しているアプリケーションの数が増えているわけではないそうなのだ。レポートについての分析は「An Upper Limit For Apps? New Data Suggests Consumers Only Use Around Two Dozen Apps Per Month」にある。1ヵ月間で利用するアプリケーションの平均本数は2011年が23.2本、2012年が26.5本、そして2013年Q4で26.8本となっているのだそうだ。アプリケーション本数自体の増加に比べれば、伸びは微々たるものにとどまっている。

年齢別の比較など、詳細な分析も掲載されているので、お時間のある方はぜひ本文をご覧頂きたい。

タブレットとPCの逆転は2015年?!

モバイルの世界はますます広がりつつある中、最後はGartnerからのレポートを紹介しておこう。記事は「Gartner: Device Shipments Break 2.4B Units In 2014, Tablets To Overtake PC Sales In 2015」だ。

Worldwide Device Shipments by Segment (Thousands of Units)

Device Type 2013 2014 2015
Traditonal PCs (Desk-Based and Notebook) 296,131 276,221 261,657
Ultramobiles, Premium 21,517 32,251 55,032
PC Market Total 317,648 308,472 316,689
Tablets 206,807 256,308 320,964
Mobile Phones 1,806,964 1,862,766 1,946,456
Other Ultramobiles (Hybrid and Clamshell) 2,981 5,381 7,645
Total 2,334,400 2,432,927 2,591,753

Source: Gartner (June 2014)

ちなみにGartnerのいう「Shipment」はメーカーから販社に送られたものをいい、消費者の手に渡ったものをいうわけでないことは留意しておくべきかもしれない。

いずれにせよ「タブレットこそが次世代PCだ」ということが各所で言われているが、台数ベースでみれば、まだPCも健在だということだ。PCとタブレットの逆転は2015年になるだろうと、Gartnerは予測している。

いずれにせよ、「情報通信機器」ということでまとめてみれば、市場はいぜんとして拡大を続けているわけだ(ところでウルトラモバイルの市場は動き出しているのだろうか)。

(翻訳:Maeda, H


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TechCrunch Japan

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