[JP]Parteeは参加者投票の定期コンペで「賞金+売上歩合」をクリエイターに還元するTシャツ販売サイト

まだクラウドソーシングという言葉がなかった2000年ごろ、今では一般的となったデザインのコンペ方式で多数の応募を募るという方法で立ち上がったTシャツ販売サイトがある。米国シカゴのアーティストたちのオンライン・コミュニティから生まれてきたThreadlessというサイトだ。

毎週多くのデザイナーから1000通りものデザインの応募があり、それに対してコミュニティで人気投票をして5〜15個に絞る。選ばれたデザインを、Tシャツをはじめパーカーやズボンなど、さまざまな衣料品にプリントして販売する。投票で選ばれたデザイナーには2000ドルのキャッシュと500ドル相当のギフトが提供される。さらに増刷りがかかると追加で500ドルのキャッシュが支払われる、という仕組みだ。Threadlessには現在50万人のデザイナーが登録していて、1カ月に1万点の応募があるサイトに成長している。1カ月の販売枚数は1万2000枚を数え、これまでにデザイナーに支払った総額は10億円程度という。

このThredlessの日本語版ともいえるサービスとして「Partee」が立ち上がりつつある。今日4月2日にはデザイナーによるデザインの投稿ができるようになり、15日に最初の投票が始まる。すでにParteeには約200人のデザイナーが登録しているそうだ。デザイナーに還元する仕組みはThreadlessに似ている。1〜2週間程度に1度行われる応募と投票のサイクルのなかで、デザイナーは自分のデザインを投稿する。ユーザーは自分の気に入ったデザインに投票やコメントをする。人気上位のデザインはTシャツとして商品化される。製造、販売、配送はParteeが行う。商品化されたデザインを投稿したデザイナーには、2万円の賞金と販売枚数に応じた5%のマージンが支払われる。

Parteeを立ち上げたg&h(という社名。念のため)代表の松山仁氏によれば、これまでTシャツデザインを投稿して販売できるサイトというのはあったが、Threadlessのようにデザイナーコミュニティが投票という方法で販売商品を決めるというのは国内ではないという。Threadlessでは「作品がそこに出ていることが嬉しくてソーシャルで投票を呼びかけてバイラルが起こっている」といい、表現者としてのデザイナーの自己表現や非承認のニーズをうまく組み上げて成長するモデルを描いているという。市場としての競合はむしろユニクロやビームズで、アパレルに近いという。

g&hは、これまでにもgetstageというアーティストマッチングサイトを運営している。現在、アーティスト5000組、1万5000人が登録するサイトになっていて、ここで培った投票サービスのモデル(事例:日本HP資生堂UNO)のノウハウもParteeに活かせるという。年内の目標はデザイナー2万人、売上1億円、会員10万人だそう。

Tシャツまわりの興味深いスタートアップをいくつかまとめて

Tシャツはデザイナーや、それを着る人の自己表現のツールでもある。デザインと製造、販売をネットとアプリでアンバンドルして繋ぎやすくなったことを背景に、ほかにもTシャツ関連のスタートアップが内外で立ち上がっている。今日GMOペパボがローンチしたSUZURIもそうだし、米国の注目どころでは、Y Combinatorの卒業生でAndreesen Horowitzから2000万ドルを調達しているスタートアップのTeespringがある。Teespringは、目標販売金額とデザインをセットで投稿し、目標に達するとプリント・配送されるというモデルだ。TシャツのKickstarterぽいのだけれど、Kickstarterと違うのは製造や発送の面倒をアイデアやデザインを出す側は気にしなくても良いという点。で、ここからが本当に興味深いところなのだけど、TeespringにとってTシャツは入り口に過ぎず、ほかのグッズでも同様のモデルを展開していく、という話。

香港発のスタートアップ「Snaptee」もプリントTシャツという素材で面白い試みを始めている。元々SnapteeはiPhoneアプリを使ってで誰でも簡単に画像を加工してデザインからプリントまでできるというサービスとして2013年にローンチしているが、新たに先週からカメラアプリのためのAPI提供を開始。これまで広告とダウンロード課金しかマネタイズ方法のなかったカメラアプリや画像編集アプリの開発者(提供者)に対して、Tシャツのプリント・販売まで直接つなぎ込めるようにしてレベニューシェアをするというモデルだ。


投稿者:

TechCrunch Japan

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