MakerBotの新しい3Dプリントドライバーは、材料もプリント時間も平均30%節約する

MakerBotのMinFillが昨夜(米国時間3月19日夜)、既存顧客に対するファームウェアのアップグレードとしてひっそりと登場した。同社は既にそれを「3Dプリンティングのスピードと幅広い応用に対する重要な評価基準だ」と呼び始めている。当然のことながら、この分野のメーカーたちによる、このような気宇壮大な宣言には少々気を付ける必要がある、特にそれが、インフィル(モデルの内部で支えになる構造)という、どうにも魅力的ではないものに関する話題の場合には。

しかし、少なくとも新しくリリースされたMinFillは、潜在的に優れた数値を誇示している。社内で同社のPrintソフトウェアのために設計されたこの技術は、モデルに対して、必要最小限のインフィルを決定するアルゴリズムを実行し、材料とプリントコストを節約する。この2つは、このテクノロジーにおける2大重要課題である。

「複雑な形状をプリントするとき、その形状を正しい場所から支えるための、沢山の興味深い内部幾何を想像することができると思います」と、同社の技術担当副社長であるDave VeiszはTechCrunchに語った。「全体としての効果は、フィラメントの量が減り、プリント時間が短縮されることです。なので、最終結果を得るために、少ない時間と費用でプリントすることが可能になります」。

もちろん、異なるサイズと形状に影響を受けるので、時間とコストの節約の程度はプロジェクトごとにまちまちだ。しかしVeiszは、それぞれの節約率は平均で30%で、あるオブジェクトをプリントするために必要な材料の3分の1をカットできると語った。一方、本当に幾何的に複雑なオブジェクトの場合には、80から90%の節約を達成することができる。

これは、未来のデスクトップ3Dプリンティング技術の適用を、真に推進するもののように思わせる。これが既存顧客にとっての主要な問題を取り除いてくれるだろうことは容易に想像することができるし、将来の3Dプリンティングハードウェアの進歩と組み合わせることによって、デスクトップ3Dプリンティング体験が相当にパワーアップされることも理解できる。

ユーザーがプリントを開始する前に簡単な設定をすることだけで使えるMinFillは、3Dプリンティングのプロセスにおける、単純な繰り返しのラティスあるいはクロスハッチ構造を、特定のプリントのためにカスタマイズされたユニークなデザインの構造に変える。「結果は幾何構造に依存します」と、同社は語る。「これはオブジェクト内部に支えるための必要最小限の構造を作ります。例えば端の細い柱といったオブジェクトなどの内部で、支えの必要な場所に枝が作られ、極めて密度の低いインフィルが作られて、そうした柱を支えます」。

「それはとても複雑です」とVeiszは言う。「コンセプトを作るのはとても簡単ですが、実際に行うのはとても困難です。沢山の手作業によって、それを行う手段はありますが、単純にプリントモードを選択するだけで様々な幾何構造に対応させるようにすることは、とても難しいのです」。

これは、3Dプリントテクノロジーへの初期の熱狂に続いて起こった、激動の過渡期を過ごした会社にとっては、小さいながらも重要な前進のためのステップとなる可能性がある。MakerBotは長期に渡った沈黙のあと、教育分野へのコミットメントの強化を表明しつつ、昨年の9月に新製品を発表した。

その時には、同社は報道陣に対し、教育分野はビジネスのおよそ60%を占めていて、2015年の時点で約5000校に対して出荷を行ったと発表した(これが最後の公式発表だった)。

MakerBotにとって、MinFillはプロフェッショナルの領域での活躍を期待するものだ、これは同社の購入者のおよそ30%に相当する(一般消費者はおよそ10%だ)。今回の新しい設定で作られるモデルは、特に耐久性のあるものではない。その代わり、プロトタイピングが念頭に置かれたものとなる。

「私たちは本気で、デスクトップ3Dプリンティングが、産業市場をディスラプトすると考えています」と語るのは、メディアリレーションチームのJosh Sniderだ。「なので、本当に高価なオブジェクトプリントを外注したり、私たちの親会社(Stratasys)から10万ドルから100万ドルの機械を買うような会社が、デスクトップ3Dプリントに対してより高い関心を寄せるようになると思っています」。

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(翻訳:Sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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