NIKEアプリ日本版が登場!デジタル担当VPが語る“店舗・アプリ連携戦略”

ナイキジャパンは12月11日、限定商品やユーザーに合わせた商品が買えるほか様々な機能を実装した「NIKEアプリ」日本版の提供を開始した。iOSとAndroidのどちらにも対応した同無料アプリはすでにアメリカやヨーロッパを含む計7ヵ国で提供されている。

NIKEアプリは同社のトレーニングアプリと連動し、各ユーザーに合わせた商品を提案。アプリ起動後、性別やスニーカーのサイズを選択肢、興味のあるスポーツ(僕の場合はスケートボード)などを選択することで、一人一人のニーズに合わせて情報を紹介し、よりパーソナライズされた購買体験を提供する。

  1. Interest_Selection

  2. Womens_Member_Shop

  3. MyShop

公開に合わせ展開を始める限定サービスや体験にはメンバーのみがアクセスできる「メンバー・ショップ」やナイキのエリートアスリートたちが提供するエピソード、アドバイスなどのコンテンツがある。プロダクトの誕生秘話やルックブックなども興味深い。

ナイキジャパンは同アプリを通じてナイキプラスメンバーの「実店舗やデジタルリテールでの体験を大きく高める」各種サービスなども提供する。

ちなみにアプリ公開後に展開する限定プロダクトには「ナイキ ズーム フライ SP」や「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%」、「ナイキ エア ヴェイパーマックス 2019」などのスニーカーが予定されている。

プレゼンを行うマイケル・マーティン氏

アプリ公開に合わせて来日していたナイキのグローバル・デジタル・プロダクツ担当ヴァイスプレジデント マイケル・マーティン氏はローンチ前日の12月10日、プレス向けにプレゼンテーションを行い「ナイキは常に“アート”に長けていた。だがこれからはより“サイエンス”を取り込んでいく必要がある」と同社のデジタル戦略について語った。

マーティン氏は「私たちのサービスモデルは非常にシンプルだ。それは、それぞれの顧客に“ナイキに愛されている”と感じてほしいということだ」と話した。それを実現するには、買い物が「モバイルファースト」となった今、「フィジカルとデジタルの連携」「シームレスなカスタマージャーニー」「素早さ」「利便性」など「様々な要素が求められている」と同氏は加えた。

マーティン氏は「フィジカルとデジタルの連携」の重要性を力強く説いていたが、それもそのはず、本国アメリカなどで同社はアプリと実店舗を連動させた買い物体験をファンに提供し始めている。プレゼン後、その連携の最新事情に関してマーティン氏に詳しく話を聞くことができたので、その内容をみなさんにも共有したいと思う。

あらかじめ説明しておくと、ナイキは2018年7月、「Nike by Melrose(ナイキ・バイ・メルローズ)」という新コンセプトストアをロサンゼルスにオープンしている。同社が「デジタルとフィジカルが融合した実験的なリテール」と説明しているこの店舗では、アプリでスニーカーの試着を予約することが可能だ。客はスマートフォンを使い予約したスニーカーが収められているロッカーを開けることができる。

さらに、同社は2018年11月、ニューヨークに「House of Innovation 000(ハウス・オブ・イノベーション 000)」と名付けられた新フラッグシップストアをオープン。アプリの使用が前提とされている同店舗ではスタイリストからのアドバイスの予約や支払いまでアプリで完結することが可能だ。上海にも同様の店舗が展開されている。

アプリの登場は実店舗の来客にどのような影響をもたらしたのだろうか。マーティン氏は「ネガティブな」影響は決してないと答え、「私たちが求めているのは顧客に来店し続けてもらうことではない。彼らの実店舗での経験をより“豊か”にすることだ」と述べた。

「ナイキ製品の購入にいたるまで、顧客は平均して7日以上検討を続ける。それはデジタルとフィジカル双方で行われる。Nike by Melroseのオープン後、その地域のオンライン販売は伸びた。そしてNIKEアプリはその店舗の来客数を増やすことに貢献した」(マーティン氏)

アプリを使いメンバーのPASSをかざすことで「NikePlus Unlock Box」という自販機のようなマシーンからNikePlusメンバー特典を受け取ることができ、これをきっかけに平均して7分に一人のペースでNike by Melroseには来店があるそうだ。

NIKEアプリで表示できるPASS

2018年7月にはNike by Melroseのような「Nike Live」コンセプトストアが2019年春以降、東京にもオープンすると発表されているが、マーティン氏はそれ以上の詳細については語らなかった。

だが同氏は「ナイキはデジタル・フィジカルの連携において最先端にいる。特に日本のような重要なマーケットでは常に最先端にいることが重要だ」と加えた。

「私たちの企業としてのゴールは、顧客の願望・目標の達成に向け可能な限りのサポートをすること」「NIKEアプリでは他にはない経験を提供できる。私たちが目指すのは顧客にプロのアスリートと同じレベルの体験を提供すること。プロのアスリートと同じ利益や特権を提供することだ」(マーティン氏)

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TechCrunch Japan

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