Open Network LabデモデーSpring 2013 – 第6期は著名サービスを採択

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デジタルガレージ、カカクコム、ネットプライスが手がけるインキュベーション事業Open Network Lab(以下、Onlab)の第6期生のデモデーが本日開催された。前回の第5期生には昨年のTechCrunch Tokyo スタートアップバトルに出場したWHILLや、スパルタ、スマクルといったスタートアップを輩出したOnlabだが、今期は珍しい展開となった。

というのも、Onlab第6期採択チームの3社のうち2社はすでによく知られていて、実績のあるスタートアップだったからだ。100近い応募の中からすでに知られている2社を採択したことにより、デモデーでの新鮮味には欠けていた。もちろんインキュベーションとして優れたスタートアップを選ぶのは当然のことだが、外野からすると少し残念な気持ちがある。悪いことに今期採択された3チームのうち1チームはデモが間に合わなかったためにデモデーでお披露目されることはなかった。

ここからは第6期に採択された2社を紹介するが、読者の方はすでにご存知のものが多いかもしれない。

papelook/pape.mu girls

すでに500万ダウンロードを突破し、今年3月にAndroid版のリリース後は毎月50万ダウンロードされている女性向けのアプリがpapelookだ。

このアプリは写真を切り抜いたり、コラージュしたりして写真を加工するためのツールで、デイリーアクティブユーザー(DAU)は23万人、マンスリーアクティブユーザー(MAU)は148万人を誇る。利用者の8割が女性で、75%は日本のユーザーだそうで、15歳から29歳の女性のiPhoneユーザーのうち2人に1人は使っているという若い女子には必須になっているアプリのようだ。

パペルック代表取締役社長の小澤一郎氏によると、日本のApp Storeのカメラランキングでは年間累計でYouTube、LINEカメラの次にダウンロードされているそうだ。

今後はスタンプ課金やスタンプ広告を来週から提供する予定だが、同社のメインのビジネスモデルではないという。

収益化のメインとなるのは同社が提供しているpape.mu girsだという。こちらもターゲットユーザー層は同じく、女性だがpapelookとは違いファッションメディアとして機能している。ユーザーが好きな女性誌を選ぶと、その雑誌に適したファッションアイテムや載っているモデルのブログなどから写真を取得しタイムライン形式で表示する。

こちらは昨年1月にリリースしてから25万ダウンロード、MAUが5万人、月間PVが600万とpapelookには劣るものの、1日あたりの平均滞在時間は50分だというから驚きだ。

このpape.mu girls上では気になる服をそのまま購入することもできるのだが、今後はブランドの全面広告の導入(バナーではなく、ページ1面に広告を表示する)、掲載されているモデルが着ている服をそのまま購入できる機能などを提供していくことで収益化を図るそうだ。

Lang-8

Lang-8は語学学習サービスでユーザー同士が学びたい言語の文章を添削してもらう代わりに、相手のユーザー書いた自分の母国語の文章を添削するものだ。

Lang-8のサービス開始は5年前とインキュベーション参加チームとしては珍しいが、Onlab参加後は成長率がグンと上がったとLang-8代表取締役の喜洋洋氏はいう。サービス内に投稿されるコンテンツは約1.5倍、添削数は約3倍、そして一番重要視している添削率は72%から94%まで改善されたそうだ。

この成長を後押ししているのが人材だ。以前はほぼ喜氏1人で運営していたのだが、Onlab採択後に元クックパッドの佐々木達也氏とデザイナーがジョインし、開発のスピードが増したのが主な要因だ。

リソースが増え、デスクトップのみ先に改善をしたところ上記のような改善が見られたそうで、今後はスマートフォンにも最適化し、さらなる成長を目指す。

収益化に関してはすでにプレミアムモデルでの課金が用意されており、プレミアムユーザーも順調に増えているそうだが、有料での添削やチューターとしてSkype等でのレッスンができる機能を提供する予定だという。

Onlab 第6期生のサービスで今回デモデーに登壇したのはこの2つだった。すでによく知られているスタートアップのサービスだったので、冒頭でも述べたように読者にとっても新鮮さには欠けるものに違いない。

この他、第1期から第5期に採択されたスタートアップの新サービス–Compath.meのKiDDY、お願いカンパニーのプログラミングスクールSpathSchool–と、FindJPNからリニューアルしたVoyaginが発表された(Voyaginは本誌でも取り上げられている)。この他、非公開プロダクトが1つ発表された。このうち、Compath.meの新サービスKiDDYをご紹介しておこう。こちらのビボット組のほうが、新鮮さを感じたのは間違いない。

KiDDY – Compath.me

KiDDYは家族内だけで共有したいものをクローズドな場で共有するためのアプリだ。Facebookなどではシェアしたくない家族内の写真をストックできる。使い方は簡単で写真を撮り、コメントを付けてアップロードするだけで、写真はカレンダー風に日付とともに表示されるデザインになっている。

このサービスは昨年末にリリースされ、今のところ最も需要のある子供の成長記録をアーカイブするためのアプリとして約1万世帯に利用されているそうだ(家族間で使うので世帯数を公開している。そのため、ダウンロード数ではこの2倍~3倍だろう)。

アップロードされた写真は累計22万枚で、ユーザー数は毎月約120%成長、DAUは約20%、WAUは約50%と順調に成長しているという。

収益化の方法はKiDDY内にアップロードされた写真をオシャレなポストカードにして届けるモデルで、今後は100枚ごとにまとめてアルバム風にしたものを定期的に配送する機能も予定している。

また、子供の成長記録をアーカイブするためのアプリという使われ方の他に、健康記録を管理するためにも使われるようになるとKiDDYを運営するCompath.me代表取締役社長の安藤拓道氏はいう。

現在は親や祖父母が子供・孫の写真を見るために登録して使っているが、徐々に健康管理にもKiDDYアプリを使うようになるという考えだ。

以上がデモデーで発表されたサービスだ。

なお、採択チームは少ないが6期生の中で最優秀チームが発表され、パペルックが選ばれている。


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。