RPAソフト市場の成長は2023年から横ばいになるとフォレスターが予測

2021年、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は大人気で、マーケットリーダーのUiPathが大きな評価額で上場し、また大きな安定企業が小さなベンダーの買収を始めるなど、話題も多かった。しかしそれでも、RPAは以前から常によりインテリジェントでノーコードな方法へと移行していく前にレガシーのプロセスを扱う、過渡期的な自動化ソリューションと考えられてきた。

Forrester Researchの最新データもそんな説を支持し、RPAの市場は2025年に65億ドル(約7560億円)に達するが、しかしその頃から企業はAIを本格的に導入したオートメーションのソリューションへ移行していくため、RPAの成長は横ばいになると予想している。

RPA市場に関する最新の報告で、同社は次のように述べている。「2021年のすごい成長は2022年も続くと予想される。それはパンデミックを契機とする自動化の需要や目下進行中のデジタルトランスフォーメーションの事業によるものだ。しかし2023年以降は、成長率は横ばいになっていくだろう」。

2018年の報告書は、2019年の市場を11億ドル(約1280億円)と予想しているため、2025年の65億ドルという予想は確かに大きいが、しかしSalesforce1社の直近の四半期の売上が70億ドル(約8143億円)であるため、それに比べればまだかなり小さい。

複雑なソリューションの実装を助けるサービスの市場は、RPAのソフトウェアの売上に比べて相当堅調な成長が予想されている。Forresterによると、RPA関連のサービスの売上は2025年に160億ドル(約1兆8614億円)に達して、それらに実装を助けてもらうRPAソフトウェア本体の売上のほぼ3倍になる。サービスとソフトウェアを合わせれば、2025年は250億ドル(約2兆9085億円)という、はるかに大きな市場規模になる。

画像クレジット:Forrester Research

ForresterのアナリストであるLeslie Joseph(レスリー・ジョセフ)氏による、サービスの売上の定義は「サービスのベンダーが、プロダクトに関するコンサルティングや開発、実装、メンテナンス、サポートなどのサービスを提供して得る売上」だ。サービスベンダーとは、AccentureやIBMやEYのような、システムインテグレーターやコンサルティングやアドバイスを提供する企業だ。彼らが、RPAソフトウェアのパートナーやリセラーのこともある。

Forresterの予想では、これまでRPAソフトウェアへ行っていたお金の一部が広義のAIオートメーションソリューションへ行くようになる。なお、RPAの「R」はロボティクスだが、それは本当の意味のAIではない。この場合のロボットとは、一連の高度な手作業に多くを依存していたタスクをを完遂する、スクリプトのようなものだ。それと比較するとノーコードのオートメーションによるソリューションは、ワークフローを容易に作れて、おそらくコンサルティングの助けが要らないものだ。AIがタスクをインテリジェントに実装する方法を提供し、これまでのように本格的で高度なコーディングによって定義された一連のワークを次々こなしていくのではなく、データに基づくステップを踏んでいく。

UiPathが2021年に350億ドル(約4兆707億円)の評価額で、IPOの前の最後のプライベートな資金調達として7億5000万ドル(約872億円)を調達したとき、投資家たちは熱狂したが、しかしそれでもこの下落が起こっている。米国時間3月9日の同社の時価総額は150億ドル(約1兆7438億円)ほどで、2021年は年間を通してソフトウェア企業が株式市場で不振だったことを考慮に入れたとしても、確かに急落だといえる。

一方、SAPがSignavioを買収し、ServiceNowがIntellibotを買収、そしてSalesforceがServicetraceを持っていくといった重要な整理統合もあった。RPA専業ベンダーのトップスリーの1つであるBlue Prismは、Vista Equityのパートナーたちからの申し出を断った後で、SS&Cからの16億ドル(約1860億円)を受け入れた。この取引は今月後半に完了すると予想されている。

RPA市場について2021年に5社の投資家にアンケートした際、特にRPAという技術の有意性が長期的にはいかにして担保されるかを聞いた。投資家たちの答えは、市場が今後も継続的に大きくなる、というものだったが、Forresterが正しければ、顧客が最新のAIによるオートメーションサービスを求めるにともなって、市場は変わっていくかもしれない。

画像クレジット:Sean Gladwell/Getty Images

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。