SalesforceはCustomer 360で、顧客サービスの不満解消を狙う

これまである会社に問い合わせの電話をして、問い合わせに関する山のような予備的な質問に答えたのに、最終的につながった顧客サービス担当者(CSR)にはその回答が伝わっていなかった、という経験を何回繰り返したことがあるだろうか?

こうしたことが起きるのは、通常システムAがシステムBと話し合うことができないからで、ただでさえ同じ情報を繰り返し答えさせられて腹が立っているのに、それは問い合わせをした側にとっては強く不満の募る出来事だ。Salesforceは、今週サンフランシスコで開催されているユーザー会議のDreamforceで発表したCustomer 360という新しい製品で、この問題を解決することを望んでいる。

製品開発の観点からみた場合に、Customer 360が興味深い点は、Salesforce65億ドルで買収したMuesoftの技術を取り込んでいるところだ。そして単にその技術を製品に転用したのではなく、対応する技術の断片を内部的に組み合わせて、Salesforce製品ファミリーに対して一体感のあるビューを提供しているのだ。理論上は、これによって電話で話している顧客サービス担当者は、顧客が会社に対するどのようなやりとりを行って来たかを全体的に把握できるようになる。これによって顧客は、話が伝わっていなかったことによって、同じ話を繰り返す必要性が減ることになる。

スクリーンショット:Salesforce提供

ここでのアイデアは、販売、サービス、コミュニティ、コマース、マーケティングなどのさまざまな製品を、すべて顧客ごとの単一ビューにまとめることである。同社の発表によれば、こうしたことを1行のコードも書くことなく実現できるという。

Customer 360にデータソースを追加する様子:Salesforce提供

これによって、顧客と対話する誰もが(多くの企業を逃し、たくさんの顧客を怒らせてきたプロセスの)全体像を見ることができるようになる。Salesforce CRMの中にある顧客レコードは、マーケティングアプローチやeコマース履歴と同様に、ストーリーの一部に過ぎない。それらがすべて合わせられることによって、顧客のストーリーは明らかになるのだが、ありがちなようにデータがサイロの中に閉じ込められていたとしたら、誰もそれを見ることはできない。それこそがCustomer 360の解決しようとしている問題なのだ。

Salesforceの社長兼最高製品責任者であるBret Taylorは、これまでもSalesforceの中でこれを実現する手段はあったが、このような直接的なやりかたで提供できる製品はなかったと説明した。彼は、Apple、Amazon、そしてGoogleなどの大手ブランドは、顧客がブランドとつながったときに、どのように扱われるかという観点の期待を変えてきたのだと語る。Customer 360は、企業がそうした期待レベルを達成することの支援に、重点を置いている。

「今や、顧客は自分のことを知らない企業とやりとりをしている場合にも、他での喜ばしい体験から期待を膨らませています。私たちはそれを顧客から繰り返し聞かされています。それこそが、私たちが統合に重点を置いている理由なのです。統一された顧客のビューこそが、そうした体験に対する究極的な価値の提供になるのです」とTaylorは説明する。

この製品は、これまで各部署や組織全体の固有の要求に応えて、Salesforce製品を設定しカスタマイズする責任を負ってきたSalesforce管理者向けのものである。Customer 360を設定して、Salesforceやその他の製品からデータを引き出すこともできる。

Customer 360は現在北米でパイロット運用されているが、来年の適当な時期には一般的に利用できるようになる筈だ。

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(翻訳:sako)

画像クレジット:Jose Luis Pelaez Inc / Getty Images

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TechCrunch Japan

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